ニュース速報
ビジネス

NY外為市場=ドル急落、147円台 雇用統計軟調で利下げ観測高まる

2025年08月02日(土)06時08分

FILE PHOTO: U.S. Dollar banknotes are seen in this illustration taken July 17, 2022. REUTERS/Dado Ruvic/Illustration/File Photo

[ニューヨーク 1日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、7月の米雇用統計が予想を下回ったことを受けドルが主要通貨に対して下落した。対円では一時150.91円と、3月28日以来の高値を付けたものの、その後は147円台に急落。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に何回の利下げを行うか見極めようとする動きが出ている。

労働省が発表した7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加数が7万3000人と予想の11万人に届かなかったほか、過去2カ月分の雇用者数も下方修正され、労働市場が急激に悪化している可能性が示された。

マネーUSA(ワシントン)の取引部門ディレクター、ヘレン・ギブン氏は「誰もが予想していたより悪かった。追い打ちをかけるように前月分も下方修正された」と述べた。

FRBが午後遅くにクグラー理事が8日付で退任すると発表したことを受け、ドルは下げ幅を拡大した。クグラー氏は今週の連邦公開市場委員会(FOMC)を欠席。任期は来年1月までだった。

終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は1.23%安の98.80。

ドル/円は2.23%安の147.37円。

ユーロ/ドルは1.37%高の1.1571ドル。ただ一時は1.1389ドルまで下落し、6月10日以来の安値を付けていた。

FRBは今週開いたFOMCで金利据え置きを決定。利下げを急がない姿勢を改めて示した。ただ、雇用統計が軟調だったことで利下げ観測が高まり、市場が見込む年末までの利下げ幅は現在0.63%ポイントと、前日の約0.34%ポイントから拡大。FRBが利下げを再開するのは9月との予想が大勢になっている。

FRBが9月16─17日の次回FOMCで利下げに踏み切るかは、9月5日に労働省が発表する8月の雇用統計次第になる。マネーUSAのギブン氏は、パウエルFRB議長が今週のFOMC後の記者会見で、次のFOMCまでに2回の雇用統計が発表されると言及したことに触れ、「2回のうち最初の7月の雇用統計がこれほど悪かったことを踏まえると、労働市場は明らかに冷え込んでおり、9月に発表される8月の雇用統計の重要度が高くなっている」と述べた。

ハト派的なFRBはドル相場に対する重石になる可能性がある。キャピタル・エコノミクスの副チーフ市場エコノミスト、ヨナス・ゴルターマン氏は「ドルは下半期に強含むとのいうわれわれの予測は、米経済が堅調さを維持し、FRBは2026年まで金利を据え置くとの見方に基づいているが、こうした見通しの実現可能性は明らかに低くなった」と指摘。「景気後退シナリオの下では、ドルは高リスク通貨に対し上昇する可能性があるものの、円やユーロなど低金利通貨に対しては下落する公算が大きい」との見方を示した。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.65%安の11万3432ドル。

ドル/円 NY終値 147.36/147.39

始値 150.36

高値 150.59

安値 147.30

ユーロ/ドル NY終値 1.1584/1.1587

始値 1.1412

高値 1.1597

安値 1.1392

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ネトフリ、米ワーナー買収入札で最高額提示か 85%

ワールド

マクロン氏、中国主席と会談 地政学・貿易・環境で協

ワールド

米国、タンザニアとの関係見直し表明 選挙暴力と自由

ワールド

ブラジルGDP、第3四半期は前期比0.1%増に減速
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中