ニュース速報
ビジネス

英中銀の段階的な利下げシナリオ、トランプ氏復帰で暗雲

2024年11月08日(金)14時22分

 11月7日、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、段階的に利下げしていく考えを改めて示した。写真は英中銀で8月撮影(2024年 ロイター/Mina Kim)

Andy Bruce

[ロンドン 7日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は7日、段階的に利下げしていく考えを改めて示した。だが関税引き上げを提唱するドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利により、シナリオの修正を余儀なくされる可能性があるとエコノミストは指摘している。

英中銀は同日の金融政策委員会で0.25%への利下げを決定し、ベイリー氏は、経済が予想通りに進展する限り、政策金利は下がり続けるはずだと述べた。

しかしトランプ氏の勝利により、見通しが不透明になっている。

英シンクタンクの国立経済社会研究所(NIESR)は、米国への輸入品全てに10%以上の関税を課すという同氏の提案が実現すれば、すでに低迷している英国の経済成長率は半分以下に落ち込む恐れがあると指摘する。

NIESRの首席エコノミスト、アフメット・カヤ氏は、米国が関税を引き上げれば英国でも物価が上昇する可能性があり、中銀は恐らく金利を引き上げなければならないだろうと述べた。

ベイリー氏はトランプ氏の政策が金利見通しにどう影響するかとの記者団の質問に対し、「世界経済の分断には多くのリスクが伴う。何が起きるか見守ろう。判断するには時期尚早だ」と答えた。

セント・ジェームズ・プレイスの経済調査部門責任者ヘタール・メータ氏は、他の国と比べて英国はトランプ氏の関税政策の直接的な標的になりにくいが、大統領選の結果は英中銀の金利見通しに影響を及ぼすだろうと述べた。

スターマー首相が率いる労働党政権が先週公表した予算案は、税金、歳出、借金の大幅増額を含むもので、中銀はインフレ率と経済成長率を押し上げると予想している。

パンテオン・エコノミクスの英国担当チーフエコノミスト、ロブ・ウッド氏は「金融政策委員会は現在、トランプ氏と予算という2つの新たなインフレショックに対処している」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪住宅価格、11月も最高水準 複数州都で大幅上昇=

ワールド

OPECプラスが生産量据え置きを決定、27年以降の

ワールド

原油先物1.5%超高、OPECプラスが生産方針維持

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、日銀総裁の発言機会に関心
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中