ニュース速報
ビジネス

日銀、国債購入3兆円程度に違和感なし 利上げ時期は慎重に判断

2024年07月24日(水)18時28分

  日銀は7月30―31日の金融政策決定会合で、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定するとともに経済・物価情勢を点検し、追加利上げの要否について議論する。日銀本店で3月撮影(2024年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada Leika Kihara

[東京 24日 ロイター] - 日銀は30―31日の金融政策決定会合で、今後1─2年の国債買い入れの減額方針を決定するとともに経済・物価情勢を点検し、追加利上げの要否について議論する。日銀内では国債買い入れについて月額3兆円程度まで減額するとの市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。追加利上げに関しては、その必要性ではおおむね一致しているものの、弱含んでいる消費動向を確認すべきとの意見もあり、慎重に時期を判断するとみられる。

<減額計画は「コンセンサス並みに」の声>

19日に公表された債券市場参加者会合の議事要旨では、月間買い入れ額について3兆円程度までの減額を要望する声が相対的に多かったことが示された。日銀では、2年で3兆円程度までの減額について、違和感はないとの声が出ているほか、市場の動揺を抑制する観点から、市場の見方に近い水準が望ましいとの意見がある。

関係筋によると、減額は段階的に行い、減額の初期段階で買い入れ額を一気に減らす可能性は低いとみられる。減額の計画期間は、26年3月末までなど2年未満とする可能性もある。

市場参加者からは、まずは5兆円程度までの減額にとどめるべきとの意見や買い入れ額をゼロまで落としていく意見があったが、「相応の規模」で減額し、市場に不測の事態を招かないという意味で、極端な数字となる可能性は低いとみられる。

<追加利上げ、素地は整いつつある>

植田和男総裁はこれまで、日銀の見通しに沿って基調的な物価上昇率が高まっていけば「緩和度合いを調整していくことになる」と述べてきた。日銀は3月に大規模緩和の終了を決定。政策金利を0―0.1%に引き上げたが、実質金利は非常に低い水準にあり、追加利上げしても実体経済への影響は軽微との見方が聞かれる。

日銀内では経済・物価情勢が想定通りに進んでいることに加え、円安に伴う物価上昇リスクが強まっているとして利上げを支持する声が広がりつつある。

一方、足元の個人消費の弱さへの懸念は強く、追加利上げに当たっては消費の持ち直しを今後のデータで確認する必要があるとの指摘が出ている。

日銀では、追加利上げに向けた素地は整いつつあるとして、今回の会合で利上げが見送られても、近い将来の利上げを予想する向きもある。

<展望リポート>

日銀は決定会合で「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を議論する。建設総合統計の大幅下方修正に伴う1―3月期の実質国内総生産(GDP)の下方修正を踏まえ、2024年度の実質GDPの予想は前回4月時点の前年度比0.8%増から小幅に下方修正する見通し。しかし、経済・物価の基調に関する見通しは従来予想通りの展開になっているとの見方が多い。賃上げの波及を背景とする個人消費の緩やかな増加見通しは維持する見通し。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米上院通過の税制・歳出法案、戦略石油備蓄の補充予算

ビジネス

物言う株主、世界的な不確実性に直面し上半期の要求件

ワールド

情報BOX:日米関税交渉の経緯、協議重ねても合意見

ワールド

豪小売売上高、5月は前月比0.2%増 予想下回る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中