ニュース速報

ビジネス

海外投資ファンドの行動、日本の金融機関のリスクに=日銀リポート

2021年04月20日(火)17時15分

 4月20日、日銀は、金融システムの評価と安定確保への課題をまとめた「金融システムリポート」を公表した。写真は2016年9月、都内の日銀本店で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 20日 ロイター] - 日銀は20日、金融システムの評価と安定確保への課題をまとめた「金融システムリポート」で、海外の金融システムとの結びつきが強まった結果、海外投資ファンドの資産売却などで日本の金融機関の市場リスクが増幅する度合いが高まっていると警鐘を鳴らした。

日銀は、米投資会社のアルケゴスが各国の大手金融機関に巨額の損失をもたらしていることを念頭に、ノンバンクが金融システムに及ぼす影響を分析した。

ノンバンクを巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大で昨年3月に金融市場が動揺した際、ノンバンクによる資産売却が一因とされ、国際的な金融規制当局者の間で関心が高まっている。日銀はリポートで、2018年から海外投資ファンドと日本の金融機関の投資先が重複する度合いが急速に高まっていることを示した。

⾦融部⾨の資産規模に占めるノンバンク部⾨のシェアを他の主要国と⽐較すると、日本のノンバンク部⾨は相対的に⼩規模で、「⾜もとで国際的に関⼼が⾼まっている投資ファンド等は⽶欧対⽐で明確にプレゼンスが⼩さい」とした。ノンバンクから金融機関以外の主体への資金の流れは、日本は米国やドイツに比べて大きくないことも示された。

金融システムの総括判断は、新型コロナウイルス感染症が引き続き国内外の経済・金融面に大きな影響を及ぼしているものの、日本の金融システムは全体として安定性を維持しているとした。

日銀は、感染症が再拡⼤するなどの状況を想定しても、金融システムは「相応の頑健性を備えている」と指摘した。ただ、仮に国際⾦融市場が⼤幅かつ急激に調整する場合には、⾦融機関の経営体⼒が低下して⾦融仲介機能の円滑な発揮が妨げられ、実体経済の⼀段の下押し圧⼒として作⽤するリスクがあるとした。

*内容を追加しました。

(和田崇彦)

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正(発表者側の修正)東京コアCPI、11月は+2

ビジネス

英自動車生産、10月は前年比23.8%減 ジャガー

ワールド

香港大規模火災の死者94人に、鎮火は28日夜の見通

ビジネス

小売販売額10月は前年比1.7%増、PCなど家電増
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 8
    「攻めの一着すぎ?」 国歌パフォーマンスの「強めコ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中