ニュース速報

ビジネス

FRB議長講演、債券市場関係者は失望 利回り上昇への対応なく

2021年03月05日(金)12時31分

 3月4日 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長(写真)がこの日行った講演を受け、最近の債券利回り上昇への対応を期待していた投資家の間で失望が広がっている。2020年12月、ワシントンで撮影(2021年 代表撮影)

[ニューヨーク 4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が4日行った講演を受け、最近の債券利回り上昇への対応を期待していた投資家の間で失望が広がっている。

パウエル議長はこの日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)主催の米経済に関する会合で講演。FRBの「政策スタンスは適切」とし、最大雇用達成まで現行の緩和的な政策を維持すると改めて表明した。

パウエル議長が直ちに利回り上昇の抑制に動かない姿勢を示したことを受け、米10年債利回りは1.5%を上回る水準に上昇した。

ナショナル・アライアンス・セキュリティーズの国際債券部門責任者アンドリュー・ブレナー氏は「全般的に見てパウエル議長の講演は市場の失望を誘う内容だった。何か悪いことを言ったわけではないが、一段の流動性を求める市場の期待に届かなった」と述べ、そのため利回りは上昇するだろうとの見方を示した。

パウエル議長は、最近の米国債利回りの急上昇については「注目に値し、留意している」としつつも、「無秩序な」動きとも、FRBによる介入が必要とも考えていないとした。

パウエル議長は、利回り上昇が継続し、無秩序な状況になった場合や、金融状況が持続的に引き締まる場合には懸念事項になるというブレイナード理事が2日示した見解におおむね同調した形だ。

ブラウン・アドバイザリーの債券部門責任者トム・グラフ氏は「パウエル議長は長期戦とみているのだろう。市場はFRBの決意を確認する必要がある。パウエル氏はその決意を繰り返すことが最善策と認識している」と語った。

INGバンクによると、米財務省は今年約4兆ドルの国債を発行するため、利回りに一段の上昇圧力がかかる見通しだ。

インキャピタルのチーフ市場ストラテジスト兼シニアトレーダー、パトリック・リアリー氏は「FRBが対応しなければ、供給が増え続けることから時間の問題だ」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ブラジル大統領選、ボルソナロ氏が長男出馬を支持 病

ワールド

ウクライナ大統領、和平巡り米特使らと協議 「新たな

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中