ニュース速報

ビジネス

米個人消費、9月は1.4%増で予想上回る インフレ抑制続く

2020年10月31日(土)01時50分

10月30日、米商務省が発表した9月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比1.4%増と、8月の1%増から伸びが加速し、市場予想の1%増も上回った。しかし、失業者向けの政府支援が縮小し、追加の新型コロナウイルス経済対策のめどが立たない中、消費支出は第4・四半期に減速する可能性がある。写真は7月14日、米カリフォルニア州のショップングモールで(2020年 ロイター/Mike Blake)

[ワシントン 30日 ロイター] - 米商務省が30日発表した9月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比1.4%増と、8月の1%増から伸びが加速し、市場予想の1%増も上回った。しかし、失業者向けの政府支援が縮小し、追加の新型コロナウイルス経済対策のめどが立たない中、消費支出は第4・四半期に減速する可能性がある。

9月は自動車や衣料品に加え、ヘルスケア、スポーツ施設や美術館への支出など幅広く増加。しかし、コロナ禍の影響で航空旅行やホテルなどのサービスへの支出が低迷する中、全体の消費支出は年初の水準を引き続き下回っている。

個人所得は0.9%増と、8月の2.5%減から持ち直した。

貯蓄率は14.3%と引き続き高水準にあるものの、前月の14.8%から低下し、消費者が貯蓄を切り崩している可能性を示唆した。4月は過去最高の33.6%を記録していた。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.2%上昇と、8月の0.3%上昇から鈍化。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安として注目する前年同月比は1.5%上昇と前月の1.4%から加速したものの、FRBが目標とする2%を依然下回り、インフレが抑制されている様子が浮き彫りとなった。

前日発表された第3・四半期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比33.1%増と、統計が始まった1947年以来最大の伸びを記録。米経済の3分の2以上を占める個人消費は40.7%増と、歴史的なペースで伸びた。

第3・四半期は、失業に対する特別給付を含む潤沢な政府支援策で消費が底上げされた。ただこうした措置は相次いで期限切れを迎え、追加経済対策を巡る与野党協議の膠着が続く中、新たな対策導入のめどは立っていない。

PNCフィナンシャル(ピッツバーグ)のチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「新型ウイルス感染拡大に歯止めがかからず、感染拡大抑制策が再導入されれば、個人所得と個人消費は大打撃を受ける」とし、「政府の追加経済対策がなければ、景気回復はリスクにさらされる」と警告。FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ロウ氏は「次回の個人消費支出統計では所得の大幅減が見込まれている。新型ウイルス感染が再拡大する中、第4・四半期は困難が予想される」と述べた。

*情報を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

香港GDP、第3四半期改定+3.8%を確認 25年

ワールド

ロシアが無人機とミサイルでキーウ攻撃、4人死亡・数

ビジネス

インタビュー:26年春闘、昨年より下向きで臨む選択

ビジネス

ニデック、4―9月期純利益58%減 半期報告書のレ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 5
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 6
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 7
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中