ニュース速報

ビジネス

米経済、包摂性なければ完全に回復せず=クリーブランド連銀総裁

2020年09月29日(火)07時23分

クリーブランド地区連銀のメスター総裁は28日、経済成長をより内包的にする措置が取られなければ、米経済は完全に回復しないとの見解を示した。ワシントンのFRB本部で昨年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

[28日 ロイター] - クリーブランド地区連銀のメスター総裁は28日、経済成長をより包摂的にする措置が取られなければ、米経済は完全に回復しないとの見解を示した。

メスター総裁は「力強い経済の達成には、機会(の均等)と包摂性が重要」とし、「包摂的な経済の促進に向けた措置が取られなければ、米経済は潜在能力を完全に発揮できない」と述べた。

その上で、高等教育へのアクセス改善や、金融サービスへのアクセスを巡る不平等性を撤廃することなどで改善が望めるとの考えを示した。

また、米経済は住宅など低金利の恩恵を受ける分野で改善が見られるが、回復には時間がかかり、新型コロナウイルスに左右される分野もあると述べた。

例えば、在宅で仕事ができるようになった人もいるし、自動車の販売も増えているが、レストランや中小企業など対面でのやり取りを必要とするサービス業は回復が遅れていると指摘した。

西ペンシルベニアのアフリカ系米国人商工会議所が主催したオンラインイベントでの質疑応答で、メスター氏は「現在、多くの業種で経済活動は回復しているが、旅行、レジャー、娯楽などの大部分では回復が見られない。この状況はしばらく続くだろう」と話した。

同氏は記者団に対し、米失業率は今年末の時点で7─8%に、インフレ率は1%を上回る水準になる可能性があるとした上で「雇用、インフレともにFRBの目標には、まだ遠いと言える」と述べた。

金融政策については「脆弱」な景気回復を支えるため、しばらくは緩和的な状況が続くとの見方を示した。低金利は、雇用最大化を図り、インフレ率が一時的に2%を上回ることを容認するFRBの新戦略とも合致するとした。

メスター氏は、FRBの資産買い入れも緩和効果を提供しているとし、プログラムのさらなる修正を行うかどうかは、経済の動向次第だと指摘。「現時点ではうまく調整できていると思う」とし、「金融政策はやるべきことをやっている」と語った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米とウクライナ、和平案を「更新・改良」 協議継続へ

ビジネス

FRBの金融政策は適切、12月利下げに慎重=ボスト

ビジネス

米経済全体の景気後退リスクない、政府閉鎖で110億

ワールド

アングル:労災被害者の韓国大統領、産業現場での事故
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナゾ仕様」...「ここじゃできない!」
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 4
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 5
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    【銘柄】いま注目のフィンテック企業、ソーファイ・…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中