ニュース速報

ビジネス

ECBが戦略検証開始、総裁「調整力発揮」 成長リスク下向き

2020年01月24日(金)03時18分

欧州中央銀行(ECB)は23日の定例理事会で主要政策金利を据え置くとともに、インフレ目標や金融政策など政策戦略の検証を開始したと明らかにした。フランクフルトのECB本部で撮影(2020年 ロイター/RALPH ORLOWSKI)

[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は23日の定例理事会で主要政策金利を据え置くとともに、物価目標を含む政策戦略の検証を開始したと明らかにした。前任のドラギ氏は大規模な金融緩和による物価押し上げを目指したが、物価は長らく目標を割り込んでおり、現職のラガルド総裁が今後、政策目標や達成手段をどのように見直すかが注目される。

景気認識については、成長リスクが下向きと表明した。

ラガルド氏は理事会後の会見で、戦略検証の期間は約1年を見込んでいるが、ずれ込む可能性もあると指摘。「終わりが来た時に終わる」とも語り、特定の期限を設けない考えを示した。

注目される物価目標の検証については多くを語らず、「いかなる項目も未検証のまま終わらせない。物価の計測方法に関しては検討が必要だ」と述べるにとどめた。また新たな戦略を採用するまで現行の戦略を踏襲すると確認した。

現在の物価目標は2%未満だがその近辺にとどまる水準に設定されている。ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は今月、物価目標は上下に対称的で弾力性を持つ必要があるという考えを示している。

戦略検証では環境問題をどのように金融政策に取り入れるかについても議論される見通し。ラガルド総裁は気候変動を政策に取り入れた場合、物価目標の安定といった中銀の責務が損なわれたり、政府による問題への取り組み意識が薄れる恐れがあるとする一方、「何もしないこともリスクになる。挑戦を怠るということは失敗と同じだ」と語った。またECBが買い取りを行う債券の発行体がESG(環境・社会・ガバナンス)の規則に合致しているがどうかをECBが判断する可能性もあると指摘した。

ECB内で意見の相違があることについて、ラガルド氏は率直に認めるとともに、前任のドラギ氏に欠けていたとされる調整能力を発揮すると強調。「私は独裁的なトップではない。全ての総裁に意見を表明し共有する時間と場所が与えられているが、最終的には声明を取りまとめ、金融政策に関する決定事項を発表しなければならない」と述べた。

ECBは主要政策金利のリファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置いた。

声明では「インフレ見通しが予測期間内に2%に十分近いが、それを下回る水準に確実に向かっていることが確認されるまで、主要政策金利を現行またはより低い水準に維持することを想定している」と表明。月額200億ユーロの債券購入も引き続き行うと確認した。

ラガルド総裁は「ユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクは、地政学的要因や保護主義の台頭、新興国市場の脆弱性に絡み、引き続き下向きに傾いている。しかし、国際貿易を巡る不確実性が一部後退する中、リスクは以前ほど顕著ではない」と指摘した。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのエコノミスト、ポール・ディグル氏は「ECBは戦略検証が完了する年末に利下げを行い、物価目標を達成する意思を改めて示す」と予想した。

ラガルド氏の会見を受け、ユーロ/ドルは下落。市場ではラガルド氏の発言が予想よりもややハト派的と受け止められた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

モルガンS、世界株式を格下げ 米国資産は「ディフェ

ワールド

アフガン・パキスタン国境で砲撃戦 タリバン「民間人

ワールド

基調物価「2%に近づいている」、物価高対策や原油高

ビジネス

中東情勢受けた需要抑制対策、中長期的に検討も=赤沢
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 2
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度を決める重要な要素とは?
  • 3
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカートニー」を再評価する傑作映画『マン・オン・ザ・ラン』
  • 4
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    【銘柄】東京電力にNTT、JT...物価高とイラン情勢に…
  • 7
    ヒドラのように生き延びる...イランを支配する「革命…
  • 8
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    カタール首相、偶然のカメラアングルのせいで「魔法…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 4
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中