ニュース速報

ビジネス

アステラス、約3200億円で米企業買収 遺伝子治療を強化

2019年12月03日(火)13時44分

 アステラス製薬は3日、遺伝子治療薬の研究開発を手がける米バイオテクノロジー企業のAudentes社を買収すると発表した。写真は2009年7月、都内のアステラス製薬の本社前で撮影(2019年 ロイター)

[東京 3日 ロイター] - アステラス製薬<4503.T>は3日、遺伝子治療薬の研究開発を手がける米バイオテクノロジー企業のAudentes社(オーデンテス)を買収すると発表した。最終的には全株式の取得を目指している。アステラスは「遺伝子治療分野でのリーディングポジション確立に向けた重要なステップ」と位置付けている。

岡村直樹副社長(経営戦略・財務担当)は会見で、オーデンテス社買収の背景について、製造・開発能力やパイプラインに加え、大規模製造能力を有していることも大きな要因だったと述べた。

同社の遺伝子治療分野での課題は「試験管でできることが臨床に使え、商業化できること」と述べ、生産技術を有しているオーデンテス社の買収によって、こうした課題の克服が可能になるとした。遺伝子治療薬の用量として、筋肉は眼の1万倍の投与量が必要となるため、商業用の大規模製造能力が必要になるという。

アステラスは、現在、がん免疫など4つの分野(プライマリーフォーカス)に優先的に経営資源を投下しているが、「遺伝子治療」は、それらに続く5つ目のプライマリーフォーカスになると位置付けている。

発行済みの全普通株式を1株60米ドルで公開買い付け(TOB)する。買収総額は約30億ドル(約3200億円)となる見込み。TOB価格は、2日終値28.61米ドルに対して110%のプレミアムが付いている。10営業日程度後にTOBを開始し、20営業日で終了する予定。

オーデンテスはTOBへの応募推奨を決議している。米国独占禁止法に基づく承認などを経て、2020年1―3月期に完了する予定。買収資金は、当初、30億ドル全額を既存の融資枠を活用した調達を予定している。

オーデンテスは12年に設立され、16年7月に米ナスダックに上場。希少神経筋疾患を対象に遺伝子治療薬を開発している。

*内容を追加しました。

(清水律子)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

現代自、米国生産を拡大へ 関税影響で利益率目標引き

ワールド

仏で緊縮財政抗議で大規模スト、80万人参加か 学校
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中