ニュース速報

アルゼンチン大統領予備選、元首相が躍進 マクリ氏再選に黄信号

2019年08月13日(火)00時40分

[ブエノスアイレス 12日 ロイター] - アルゼンチンで11日、10月の大統領選挙の予備選挙が実施され、野党候補のフェルナンデス元首相が現職マクリ大統領を抑えて首位となり、マクリ氏の再選が危ぶまれる状況となった。

選挙管理委員会によると、フェルナンデス氏の得票率はマクリ氏を15.5%ポイント上回った。トレーダーによると、予備選の結果を受け、アルゼンチンペソは12日の取引で1ドル=65ペソと約30%急落。債券や株価も下落が予想されるという。

アナリストは、これはマクリ大統領にとって「ゲームオーバー」になり得ると予想。投資家は、野党が過去に介入的な政策をとったことを踏まえ、フェルナンデス氏が大統領になれば、自由市場経済を推進するマクリ大統領よりもリスクが高くなるとみている。

予備選でのフェルナンデス氏のリードは、最近の世論調査で想定されていた2─8%ポイントを上回った。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストは、フェルナンデス氏の勝利は想定していた弱気シナリオよりも極端だったと指摘。「ハードカレンシー建て資産に対する大幅な売りのほか、数週間以内の通貨切り下げなどアルゼンチンペソへの大きな圧力が予想される」とした。

キャピタル・エコノミクスは顧客向けノートで、フェルナンデス氏の勝利は「多くの投資家が恐れている左派ポピュリズム回帰への道を開いた」と言及。「ソブリン債のデフォルトリスクが改めて注目されることで、債券、株価、アルゼンチンペソは数日内に厳しい圧力にさらされるだろう。もっとも通貨安は外為市場への介入により抑制される可能性がある」とした。

大統領選挙で勝利するためには45%以上の得票率か、得票率40%以上かつ2位との差が10%ポイントになることが必要。今回の予備選挙の結果は10月の本選挙で大統領が決定し、11月の決選投票にはもつれ込まないことを示唆している。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む

ビジネス

SOMPO、農業総合研究所にTOB 1株767円で
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 9
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 5
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中