ニュース速報

中国GDP、第2四半期は前年比+6.2%に減速 92年以来の低成長

2019年07月15日(月)15時50分

[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)は、前年比6.2%増と、第1・四半期の6.4%増から鈍化した。米国が関税引き上げなど圧力を強めるなか、内需、外需ともに減少し、少なくとも1992年第1・四半期以来、27年ぶりの低い伸びとなった。

ロイターがまとめたアナリストの予想も前年比6.2%増だった。

同日発表された6月の鉱工業生産や小売統計などは予想を上回り、改善の兆しが示されたものの、一部のアナリストは持続できない可能性を指摘し、今後数カ月中にさらなる景気刺激策が打ち出されるとみている。

華宝信託のエコノミスト、ニエ・ウェン氏は「中国の成長率は下期に6─6.1%に減速する可能性がある」と指摘した。

政府の2019年成長率目標は6─6.5%。

同氏はまた、当局は実体経済を長期的に支援したい意向であり、銀行の預金準備率引き下げが実施される「可能性が依然として高い」とし、中国経済は減速が続いた後、2020年半ばごろに安定化するとの見方を示した。

中国政府は、大規模な減税や、インフラ事業促進を狙った地方政府の特別債発行枠設定といった景気支援策を打ち出している。

アクサ・インベストメント・マネジャーズ(香港)のアジア新興国市場シニアエコノミスト、アイダン・ヤオ氏は「預金・貸出基準金利が引き下げられる可能性は非常に低い。市場志向の金利が調整される可能性のほうが高い。あらゆる流動性ファシリティーの金利の引き下げも市場に重要なシグナルを送る」と指摘した。

また「今後数カ月は財政政策が主な対策となる見込みで、金融政策は支援的な役割になるだろう」との見方を示した。

6月の鉱工業生産と小売売上高、1─6月の固定資産投資はアナリスト予想を上回り、政府の支援策の効果が表れ始めたことを示唆した。

6月の中国鉱工業生産は前年比6.3%増加。5月の17年ぶりの低い伸びから回復し、アナリスト予想(5.2%増)を上回った。

小売売上高は前年比9.8%増。アナリスト予想は8.3%増だった。自動車販売の増加が寄与した。

1─6月の固定資産投資は前年比5.8%増。1─5月(5.6%増)から伸びが加速し、アナリスト予想(5.5%増)を上回った。

しかし、キャピタル・エコノミクスは、自社モデルでは鉱工業生産の伸び鈍化が示されたと指摘。自動車販売の増加についても一時要因などが背景とみられるとしている。

同社の中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は「月次データは予想を上回った。(しかし)より広範な製造業活動の弱さが示されていることを踏まえ、われわれはこの改善に懐疑的だ。6月のデータが好転の始まりになるとは思えない」と語った。

国家統計局は声明で、国外の不透明要因が増大しており、中国経済はなお複雑な環境におかれていると指摘。新たな下押し圧力に直面し、政府として安定した成長確保に取り組む方針を示した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ファーウェイ、チップ製造・コンピューティングパワー

ビジネス

中国がグーグルへの独禁法調査打ち切り、FT報道

ビジネス

ノボ、アルツハイマー病薬試験は「宝くじ」のようなも

ワールド

林氏が政策公表、物価上昇緩やかにし1%程度の実質賃
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中