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カナダ金融システムへのリスク、昨年よりやや高まる=中銀年次報告
[オタワ 16日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は16日、金融システムに関する年次報告で、カナダの金融システムに対する全般的なリスクは2018年6月と比べてやや高まっているとの認識を示した。
中銀は「全般的に金融システムは復元力を保っており、市場参加者の信頼感はなお高い」との見方を示した。
ただリスクが高まる要因として、経済成長の減速のほか、昨年の原油価格下落やエネルギー部門が引き続き抱えている問題に加え、世界的な金融市場で見られているリスク選好の拡大などに言及。全国的に深刻なリセッション(景気後退)、住宅価格の大規模な調整、金融市場の急激な価格変動などを金融システムに対する主要なリスクとして挙げた。ただカナダの銀行はこうしたリスクに十分対応できる態勢を整えているとした。
中銀は今回の報告書で初めて企業の社債発行に起因するリスクに言及。「投資家の間で高利回り社債とレバレッジドローンに対する需要が高まっていることを反映し(企業の)借り入れが増加しており、投資家心理の変動に(企業の)将来的な行動が影響を受けやすくなっている。中銀はこうした状況を注視している」とした。
企業の多くは米市場で資金を調達。中銀は、米国における企業の資金調達状況の悪化に伴うマクロ経済的な影響を通して、カナダの金融安定が広範な影響を受ける可能性があるとの見方を示した。
このほか、市場関係者はサイバー問題が引き続き金融システムに対する最大のリスクと認識しているとも指摘した。
中銀は過去数年間にわたり、家計債務の増加と住宅市場の不均衡について警戒。これらの脆弱性は解消はしていないものの、やや改善した。中銀は「こうした進展にもかかわらず、中銀は全般的な債務がなお高水準にあり、その大部分がすでに大きな債務を抱える家計によることから、中銀は引き続き警戒する必要がある」とした。
ポロズ中銀総裁は記者会見で、債務全体の水準は「当面は変わらない」と予想。年初から見られる世界的な債券利回りの低下で住宅ローン金利が低下しており、家計の借り入れは増大するとの見方を示した。
*内容を追加しました。