ニュース速報

第1四半期の独GDP速報値、3期ぶり増加 経済相「一筋の希望」

2019年05月16日(木)00時08分

[ベルリン 15日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は前期比0.4%増となった。家計支出の拡大や建設ブームが寄与し、3四半期ぶりにプラス成長を記録した。

前年同期比は日数調整後で0.7%増加。前期比、前年同期比ともアナリスト予想と一致した。

アルトマイヤー経済相はロイターに「一筋の希望」だとしつつも、危機が去ったとは言えないと指摘。「国際貿易紛争はまだ解決していない。自由貿易を可能とする受け入れ可能な解決策を探るため、全力を尽くす必要がある」と述べた。

同相は、官僚主義の廃止と減税を通じて企業を支援すべきだとの考えも改めて示した。ただ、ショルツ財務相は法人減税を拒否している。

連邦統計庁は、昨年第3・四半期と第4・四半期について、それぞれ前期比0.2%減、前期比横ばいと確認した。

第1・四半期のユーロ圏GDP改定値は、前期比0.4%増と、前四半期の0.2%から伸びが拡大した。

ノルトLBのクリスティアン・リップス氏は「欧州中央銀行(ECB)にとって今は景気刺激策を打ち出すときではない」と指摘。同時に最初の利上げは来年半ば以降になる見込みとした。

統計庁によると、第1・四半期は、建設部門や家計支出の拡大が経済成長に寄与した。企業の機械・設備への投資も支援要因となった。政府支出は小幅なマイナスだった。

輸出と輸入はともに増加しており、純輸出が経済成長に寄与したかは現時点では不明。同庁は来週、さらに詳細なデータを公表する。

今年の経済成長率は、外部要因の悪化で、回復しても小幅にとどまるとの見方が多い。

デカバンクのアナリスト、Andreas Scheuerle氏は「通常の環境であれば、今日の統計を受けてGDP予測が上方修正されるだろうが、世界貿易に大きなリスクがあることを踏まえると、エコノミストは慎重な姿勢を維持する可能性が高い」と述べた。

外需低迷や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感も、輸出の重しとなっている。

ドイツ政府は先月、今年の経済成長率予測を0.5%に下方修正した。昨年の実績は1.4%だった。

INGのエコノミスト、カルステン・ブルゼスキ氏は、今日の統計について、油断はできないとし「新たな構造改革に加え、民間・公的部門の投資がさらに必要だ」と述べた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米司法省、エプスタイン新資料公開 トランプ氏が自家

ワールド

ウクライナ、複数の草案文書準備 代表団協議受けゼレ

ビジネス

米GDP、第3四半期速報値は4.3%増 予想上回る

ビジネス

米CB消費者信頼感、12月は予想下回る 雇用・所得
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    砂浜に被害者の持ち物が...ユダヤ教の祝祭を血で染め…
  • 6
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 7
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 8
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中