ニュース速報

毎勤統計、不適切調査で賃金など実態より低く 厚労相「組織的隠ぺいはない」

2019年01月11日(金)13時56分

[東京 11日 ロイター] - 厚生労働省は11日、賃金や労働時間の動向を把握する「毎月勤労統計」の調査において、実施すべき全数調査の一部を抽出調査で行っていたと発表した。これにより「決まって支給する給与」等が低く出ていたため、雇用保険や労災保険で追加給付が必要な事態となっている。根本匠厚生労働相は会見で「組織的隠ぺいがあったという事実は現段階ではない」との認識を示した。

根本厚労相は、自身の責任を問われ、「さらなる調査の実施や再発防止策の取りまとめ、国民への対応に全力挙げて取り組む」と述べた。また、関係者の処分については、さらなる調査を実施した上で行う考えを示した。

不適切な調査は2004年から行われていた。本来、500人以上の規模の事業所は全数調査を行うことになっていたが、厚労省から東京都に対し、抽出した事業所名簿を送り、これに基づく抽出調査を行っていた。18年の東京都の500人規模以上の事業所は1464事業所だったが、調査を行ったのは491事業所だった。不適切な調査を行っていたことは、総務省からの指摘により精査したことで発覚した。

これらの抽出調査については、17年まで、母集団の調査結果とするための「復元」と言われる統計処理も行っていなかった。

厚労省では、「復元」に必要なデータが存在する12年以降については「復元」し、再集計値として公表する。「決まって支給する給与」の「再集計値」と公表値のかい離は金額ベースで平均0.6%だった。

なぜこうした抽出調査が行われたのか、また、なぜ18年1月から「復元」が行われたかなどについては、調査中としている。ただ、「意図的にやる意味はない」(厚労省関係者)としている。

全数調査が実施できる時期については「できる限り早急に」と記すにとどめた。

また、18年6月に神奈川県、愛知県、大阪府に対し、500人以上の規模の事業所について19年から抽出調査を行うと通知していたが、これを撤回した。

不適切な調査を行っていたことで、賃金等が低めに出ていたことから、雇用保険、労災保険、船員保険、雇用調整助成金で追加給付が必要になっている。厚労省では、2004年以降、追加給付が必要となる時期にさかのぼって追加給付を実施するとし、国民からの問い合わせのための電話を開設した。これらは計567億円となる。一方、給付が本来の額より多くなっていた人には返還を求めない。

根本厚労相は「追加給付に必要な予算を計上する方向で財政当局と協議する」と述べた。

*内容を追加しました。

(清水律子)

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米主要空港、検査待ち4時間超えも 保安職員の辞職4

ビジネス

中国、メキシコの関税引き上げに報復の権利あると表明

ワールド

ネタニヤフ氏が早期選挙回避へ転換、イラン攻撃後も支

ワールド

国連事務総長、中東紛争巡り特使任命 「大規模戦争の
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 2
    意外と「プリンス枠」が空いていて...山崎育三郎が「日本産ミュージカルの夢」に賭ける理由【独占インタビュー】
  • 3
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終回に世界中から批判殺到【ネタバレ注意】
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    「有事の金」が下がる逆説 イラン戦争で市場に何が…
  • 6
    デンマーク王妃「帰郷」に沸騰...豪州訪問で浮かび上…
  • 7
    まずサイバー軍が防空網をたたく
  • 8
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 9
    地上侵攻もありえる...イラン戦争が今後たどり得る「…
  • 10
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公開...母としての素顔に反響
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 6
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 7
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 8
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店…
  • 9
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中