フランスやドイツがAZワクチンの有効性に次々と疑念を唱えるのは、EUを離脱したイギリスでワクチン開発や接種が順調に進んでいることが面白くないからだ。EU離脱は失敗に終わらなければならない、そうでなければEU懐疑派のポピュリストが勢いづく──という懸念がある。

ドイツは今年9月に総選挙、フランスは来年春に大統領選を控えている。イギリスを叩けば支持率が上がるという計算が働いても不思議ではない。

その代わり、EUは中国やロシアと協力して域内だけではなく世界中でワクチン接種を進めようとでもいうのだろうか。スペインでは国王フェリペ6世の姉である2人の王女が2月、アラブ首長国連邦(UAE)に父の前国王を訪ねた際、コロナワクチンを接種して「特権乱用」と批判された。

ワクチンが不足し、接種が思うように進まないEUはワクチンの密輸や偽ワクチンの横行を警戒している。自分たちでは正しいことをしていると信じ込んでいるEUの対応にほくそ笑むのは中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領だけだろう。

【関連記事】
ニューズウィーク日本版 ヘルスリテラシー 健康知識を読み解くクイズ50
2026年6月2日号(5月26日発売)は「ヘルスリテラシー 健康知識を読み解くクイズ50」特集。

偽情報があふれる時代。医療・健康の知識を正しく見極め理解する最適の方法は?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
※画像をクリックするとアマゾンに飛びます