つまり、買い物はネットショッピング、支払いはすべてキャッシュレス、ご飯は美団などの配送サービスのアプリで注文して配送してもらい、移動はライドシェアやシェア自転車を使う、という中国の若者のような生活を送れば、知らず知らずのうちにデータをどんどん生み出していくことになる。データが生産要素であり、21世紀の石油なのであれば、こうした生活は社会のために有用な資源を生み出しているということになろう。

李開復によれば、中国はデータ量の優位を生かしてAIの各分野でアメリカとの差を急速に詰めている。AIの各分野のうち我々にもっともなじみのあるのが「インターネットAI」である。ユーチューブで動画をみると、似たような動画やおすすめの動画が次々と現れてくるが、あれはインターネットAIが人々のクリック行動から個々人の興味や関心を推測しているからである。こうしたタイプのAIではアマゾンやグーグルなどのアメリカ勢が強いが、中国勢もアリババ、百度があり、TikTokを運営するバイトダンスのような新興企業も台頭してきた。現状では米中の実力は五分五分だが、5年後には6:4で中国勢が圧倒するようになるだろう、と李開復は予測する。

「認識AI」では中国がリード

次に「ビジネスAI」という分野があり、これは不正の発見、テロリズムの防止、医療診断、金融などに用いるソフトウェアを開発するものである。例えば最近みずほ銀行とソフトバンクが始めた「Jスコア」は生活の状況や取引実績から信用スコアを出して、それに基づいて融資の可否や金利を決める仕組であるが、そこではAIが使われているという。この「ビジネスAI」の分野では中国はアメリカに1:9ぐらいでリードされているが、5年後には3:7ぐらいになるだろうという。

また、「認識AI」という分野は顔認証や音声認証、自動翻訳といったものを含む。中国はこの分野が特に発達しており、例えばお店の入り口でキャッシュレス口座と顔とを結びつけ、支払いは「顔パス」で行う、といったように顔認証が日常の買い物の場面でも導入されている。現状でも中国がアメリカを6:4でリードしているが、5年後には差がさらに開いて8:2になるだろうという。

「自動AI」という分野は、アメリカではグーグル、中国では百度がやっている自動車の自動運転や、大疆科技(DJI)によるドローンの自動運転などを含む。この分野では目下中国はアメリカに1:9ぐらいでリードされているが、5年後には5:5になるという。

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