マイナンバーの通知カードの配送が遅れている。当初、日本郵便は10月末から1カ月程度で5700万世帯に配る予定としていたが、653万通が12月にずれ込むことになった。先週末の時点で最も遅れるのが、「千葉県四街道市の『12月20日』」(11月27日・朝日新聞)としていたが、高市早苗総務大臣は、月が改まった12月1日、「今月中に転居するなど住所が変わった場合は別枠と考えてもらいたい」(TBS News-i)と語っており、ここにきて、今年中の配送は難しくなる可能性も含め、いくつかの特例をほのめかし始めた。

 11月の時点で高市大臣は「配達が12月下旬までかかると、税に活用するために企業が従業員から番号を集める作業も厳しくなる」(11月13日・産経ニュース)とも語っていたが、予想以上に配送が難航していることが分かる。配送が完了していないにもかかわらず、運用をスタートするならば、「国民全員に等しく与えられる番号」というテーゼを、自ら崩すことになる。

「マイナンバー」とはそもそも不可思議なネーミングで、これは「ナショナルナンバー」とでも呼ぶのが正確だろう。国家が個人を管理するための番号が張り巡らされれば、こちらからの書類申請などがしやすくなるのは当然のこと。しかし、その程度の利便性を上回る利便を国家が得る仕組みであるという基本はおさえたい。9月3日に内閣府が発表した調査結果(全国3000人対象)で、懸念を持つ点として「個人情報の不正利用(38.0%)」、「個人情報の漏洩(34.5%)」との回答が出ているが、そもそも「個人情報の利用」と「個人情報の確保」を進める施策について、個人がまったく拒否できない状況に懸念を持つべきではないか。

 我が家にも通知カードの一式が送られてきたが、その中に「マイナンバー(個人番号)のお知らせ 個人番号カード交付申請のご案内」というパンフレットが入っていた。便利になるのか、それともやっぱり危ないのか、情報が錯綜していていまいち理解できていない人に向けた解説書の役割を果たすパンフレットだが、不都合な部分はさらりと流されている印象を持った。いくつか拾っておきたい。

 安保法案の議論が盛んだった9月初旬、「改正マイナンバー法」が成立している。施行される直前にちゃっかり利用範囲を拡大するという異例の展開なのだが、この改正により2020年までの導入が検討されていた「生体認証の導入」が前倒しで決まり、ICチップに記録される写真で顔認証ができるようになった。パンフレットには、カードに顔写真が記載されていることについて「顔写真付のため悪用は困難」と安全性を高めるアイテムかのように記載されているが、悪用されないから安心ではなく、その顔写真がどのように使われるのか、説明を尽くすべきではないか。