確かに不確定要素も多い。メタンハイドレートは埋蔵量が不明だし、商業利用には膨大な費用がかかる。ガスの精製方法、その埋蔵量などの検証はこれからだ。またロシアとのパイプラインは、ロシアのような不透明さを残す国が、日本に持続的にエネルギー供給するかという懸念がある。
これらが実現化すれば、ガス業界は都市ガスも、LPガスも大きな利益を得る。そのため変化に前向きで調査もしている。しかし既得権益を奪われかねない石油会社は消極的だし、自由化でガス会社と競う電力会社は様子見のようだ。ある石油会社の中堅幹部は「既存の仕組みが回っているのだから、新しい冒険をするべきではない。石油・ガス価格が暴落したので、開発意欲もなくなるだろう」と、否定的に見ていた。
また、パイプライン構想をめぐって日本の政財官界の要人の反応を集めたが、鈍い反応しか返ってこなかったという関係者もいて、こんな感想を述べていた。「パイプライン問題では誰もが『ロシアは怖い』で思考が止まっている。それから先、新しいことをおこす意欲を感じなかった。多分、メタンハイドレードでも同じ思考停止が起こっているのだろう」。
パイプラインでも、メタンハイドレートでも新潟県の泉田裕彦知事が積極的に支援しているが、泉田知事は反原発を主張しているため、永田町などの一部には評判が悪い。「16年に選挙を控えた泉田知事のパフォーマンス。あまりかかわりたくない」(国会議員)と、冷ややかな声も聞く。
理想的なエネルギー体制は常に存在しない。なぜなら社会の姿は変わり続け、エネルギーの価格は変動する。しかしエネルギー問題で、適切な政策の方向性は昔から一貫している。一つのエネルギーに片寄らず、「ベストミックス」と呼ばれるように複数のエネルギーの調達を心がけ、新しい可能性を探し続けることだ。エネルギーの新しい可能性を探し、日本の選択肢を増やすことは重要だろう。今こそ日本海でのエネルギーをめぐる変化の始まりを注目しておきたい。