<29歳の海洋写真家、ミシェラ・スコヴラノヴァ。海と、人間を含む海の生物に対する彼女の情熱が作品の魅力だが、それだけではない>
人は、何かの世界に取り憑かれたように魅惑され、入り込んでしまうことがある。それは、写真家やアーティストにとっては最も大切な要素の1つになるだろう。この種の情熱がなければ、いくら才能があったとしても、作品は単なるテクニックだけの味気のないもので終わってしまう。人を深く感銘させることはできない。
スロバキア生まれ、オーストラリア育ちのミシェラ・スコヴラノヴァ、29歳。彼女はそういった情熱、自分の世界を持った写真家だ。
彼女が入り込んだ世界は、海中である。完全なる異次元の世界だという。静かで、時間の流れは非常にゆっくりだが、海中では日々の光景が同じになることはない、とスコヴラノヴァは語る。メインの被写体は、生き物、それも巨大な生物が多い。クジラ、イルカ、ウミガメなどである。
幸運に恵まれることもあるらしい。例えば、第1回のザトウクジラ撮影プロジェクトの中で、4トンほどの赤ちゃんクジラが目の前を通り過ぎて行ったことがある。そのときの感激は忘れられないと彼女は言う。また、イルカが足元に近づいてきて、まるで挨拶をするかのように、かすかな鳴き声を立てて去っていったこともあるそうだ。
そうした感激は、スコヴラノヴァにとって海洋写真を撮り続ける大きな動機になっている。そしてその感動を、海の不可思議さを、写真やビデオを通して多く人たちとシェアしたいと彼女は考えている。
【参考記事】世界報道写真入賞作「ささやくクジラたち」を撮った人類学者