和歌山県太地町のイルカ漁を糾弾したドキュメンタリー映画『ザ・コーヴ』が、初夏に日本で公開されることが決定した。

 作品の詳細は町山智弘さんのコラムを読んでいただきたいが、映画としての出来栄えは確かなようだ。欧米での評価は高く、昨年のサンダンス映画祭観客賞やロサンゼルス映画批評家協会賞ドキュメンタリー映画賞などを受賞。3月7日発表の米アカデミー賞でもドキュメンタリー長編賞にノミネートされている。

 

 新聞などの映画評を集めたサイト「ロッテントマト」でも、肯定的なレビューが96%と圧倒的。「ゲリラジャーナリズム」「スリラー」の要素が受けたようで、例えばニューヨークタイムズの記者ラリー・ローターは「型破りなドキュメンタリーで、ジェームズ・ボンドやハリウッドのアクション映画に期待するようなドラマティックな盛り上がりとサスペンスがある」と書いている。

 数少ない辛口批評がウォールストリート・ジャーナルで、「罪を犯した人が贖罪を求める物語」と素っ気ない(「罪を犯した人」というのは、映画の主役であり『わんぱくフリッパー』のイルカを調教していたリチャード・オバリーのこと)。

 これには激しくうなずいてしまった。イルカが殺され、その血で染まった海を見るのは確かに辛いが、個人的には「一方通行の思い込みで突っ走っている」と感じなくもなかったので。それは私が日本人だから? 5年ほど前、タンザニアを舞台にした『ダーウィンの悪夢』というドキュメンタリー映画が話題になったが、あの作品も当事者の立場から見れば衝撃的というほどでもなかったのかもしれない。

 しかし、『ザ・コーヴ』では撮影妨害や抗議をする地元関係者がまさに「悪役面」で、彼らが登場しなければ映画のショック度も半減するような......。ちなみに日本公開に際しては太地町と話し合い、彼らの顔にモザイクをかけるといった配慮をするそうだ。

――編集部・大橋希

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