読者の行動を変えるのは「強い言葉」

佐久間さんや秋元さんのように「強い言葉」で書かれた文章は、読者にとって忘れられない文章になります。「そうか、何でもかんでもそつなくできることよりも、自分ならではの特技を持っていることが大事なんだな」と腹落ちさせることができます。

これが、読者にとっては「よい読書体験」になり、「読んでよかった」という読後感につながり、「明日から意識しよう」という行動変容につながります。そういった読書体験ができる書籍は売れていきます。

これは、ビジネス書だけの話ではありません。売れっ子の著者さんには、必ずこの、「強い言葉」がある。ミリオンセラーを世に出したある編集者さんは「著者になる資格があるかどうかは、オリジナルの言葉を持っているかどうか」だと、教えてくれました。

私の格言を100本書き出してみる

この「強い言葉」について、もう少し考えてみます。「強い言葉」とは、「名言」であり、「格言」であるとも言えます。

私が著者になるための出版ゼミに通っていたときのことです。32名の受講生が、自分が出したい本の最終プレゼンを終え、懇親会で盛り上がっているときのことでした。

そのゼミを主催していた当時の編集長が、ぽろっと、「書籍を書くときには、伝えたいことを、格言にする気持ちで書くといいですよ。100本くらい格言があったら、それを見出しにして原稿が書けます」と言いました。

その日はゼミを卒業した嬉しさで、浴びるほどお酒を飲んでいたのですが、編集長の言葉が気になって、家に帰ってから朝までかけて格言を考えてみました。

このとき私は女性向けのヘアカタログをつくる仕事を15年していて、髪についての書籍の企画を考えていたので、つくった格言はこんなものでした。

・シャンプーで髪を洗ってはいけない

・毛先の10センチよりも、前髪の1センチ

・帰国子女は飲み会で3回髪型を変える

・キューティクルを整えると人間関係も整う

・髪には賞味期限がある

・雨の日は髪に蓋をする

・女性の知性は後頭部に宿る

格言が100本あれば本になる

朝までに100本考えて、ゼミのFacebookグループに投稿して眠ったのですが、これらの格言は、その後上梓した『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)という本で、そのまま見出しになったり、本文の骨子になったりしました。

私の企画は最終プレゼンでは全然評価されず撃沈したのですが、これらの格言を見た編集者さんが、「本にしてみましょうか」と声をかけてくださったのです。この書籍は、発売3ヵ月で7万部を超え、その後も19刷まで重版しました。

ここで教えてもらった「自分ならではの格言を考える」方法は、書籍の構成を考える上でもとても有効でした。ですので、その後、ライターとしてお手伝いする書籍においても(編集者さんと相談して)著者さんに格言を考えてもらっています。

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「本を出したい」POP
「本を出したい」POP

佐藤友美(satoyumi)

ライター/コラムニスト 1976年北海道知床半島生まれ。テレビ制作会社勤務を経て文筆業に転向。日本初のヘアライターとして、ベストセラーとなった『女の運命は髪で変わる』(サンマーク出版)や『書く仕事がしたい』(CCCメディアハウス)、『ママはキミと一緒にオトナになる』(小学館)などを執筆。自著はすべて重版している。わかりやすい解説でテレビ・雑誌・講演などの出演オファーが絶えない。自身の著作のみならず、ビジネス書、実用書などの執筆・構成を手掛ける書籍ライターとして50冊以上の書籍の執筆に関わっている。特筆すべきは、自著・ライターとしての書籍63冊のうち29冊は持ち込み企画であることと、持ち込み企画のほうが重版率が高いこと。

近年は、日本で最も入塾倍率が高いと言われる「さとゆみビジネスライティングゼミ」を主宰。ライターだけではなく様々な職業のビジネスパーソンを「書ける人」に育てている。卒ゼミ生と運営するメディアCORECOLOR(コレカラ)の人気連載「編集者の時代」には、ベストセラー編集者が続々登場し、出版業界で話題を集めている。

「本を出したい」書影

『本を出したい』
 佐藤友美[著]
 CCCメディアハウス[刊]

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