こうした資本流出は、中国とアメリカの金利差だけでは説明できない。資本の流出を招くのは、むしろ非経済的な要因だ。それには中国政府による不動産業界への締め付けなども含まれる。
加えて、最近は米中間の緊張が高まっているため、アメリカ政府は対中投資を抑制するような政策を採用している。
アメリカ議会も中国への投資をさらに制限する法案を検討している。こうしたことが相まって中国から逃げ出す資本が増え、結果として人民元の過小評価も一段と進む。
今は米中関係の先行きを見通せない状況だ。この状況が続く限り、人民元の為替レートは大幅に過小評価されたままで推移するだろう。そうなると、イエレンの不満を解消することも一段と難しくなる。
言うまでもないが、こうした政治的要因は中国経済におけるサービス部門の発展を遅らせ、その構造改革の妨げともなる。
そうであれば、なすべきことは明らかだ。双方の利益のために、中国政府は自国の非経済的措置の影響を評価する一貫した仕組みを考案すべきであり、アメリカ側は対中投資抑制の政策を見直すべきだ。
徐奇渊(シュイ・チーユアン)QIYUAN XU
中国・東北師範大学で博士号取得後、日本の一橋大学商学研究科客員研究員などを歴任。現在は中国社会科学院世界経済研究所の経済発展研究室で主任研究員を務める。
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