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さらに広がる、衛星データ活用の可能性

高樋 JICAは防災分野で、洪水、土砂災害、地震、火山噴火などの被害状況を把握する際に、衛星データを提供する宇宙機関、データを解析する研究機関、そして、そのデータを活用する行政機関の三者が連携する「センチネルアジア」※1と連携しています。また、2023年5月にアフリカのルワンダで洪水が発生した際には、ルワンダ宇宙庁からJICA事務所に、復興対策に向けて衛星データが活用できないかという連絡があるなど、近年多くの途上国から、さまざまな社会課題の解決に向け衛星データを活用したいという声が上がっています。

※1センチネルアジア...宇宙技術を活用したアジア太平洋地域の災害管理への貢献を目的とする国際協力プロジェクト

中村 私は今バンコクに駐在しているのですが、稲作が盛んな東南アジアでは、農業分野での衛星データの活用が進んでいます。衛星地球観測データとAIを組み合わせて農業気象をモニタリングするアプリケーションを研究開発し、稲作地の作況のタイムリーな把握や収量予測を行ってより効率的に収量をあげることができるような取り組みを行なっています。また、タイをはじめとする同地域各国では、衛星から高精度な位置情報を得るために地上に設置する「電子基準点」の整備を進めることで、農機の自動運転を進めるなど、スマート農業の推進にも力を入れています。

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JAXAが開発した「だいち2号」の衛星データとAIを組み合わせて水稲の作付面積・収量を推定するアプリケーション「INAHOR」の画面
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JICAはタイで「電子基準点に係る国家データセンター能力強化及び利活用促進プロジェクト」を実施し、自動運転農機の農作業への導入を促進している。2023年6月にはスマート農業の普及促進イベントも開催。写真はイベント「Agri DEMO DAY」の様子

高樋 衛星データ活用のポテンシャルは確実に広がっています。保健分野でも、感染症がどのように拡大していくか把握するために衛星データの活用が期待できますし、人々の所得向上や生活改善に結び付けていくことも可能だと思います。当室ではJICAのあらゆる取り組みの中に宇宙技術・衛星データの利活用が進むように取り組んでいます。

中村 最近はじめた取り組みとして、「水田由来の温室効果ガス削減プロジェクト」があります。実は、水田からは微生物の働きによって意外にも多くのメタンガスが排出されています。宇宙から「だいち2号」の衛星データを活用して水田の水位を測り、地上のIoTセンサーや排出量の算定手法を組み合わせることによって、収量を維持しながら水位をコントロールしメタンガスの排出は削減する、ということを目指した実証プロジェクトを進めています。これが可能になると、温室効果ガスの排出削減量を排出権として「クレジット化」でき、農家はクレジットを取引することで所得向上につながり、SDGsに掲げる貧困をなくすることにつながっていくと考えます。同プロジェクトは、昨夏よりフィリピンで開始し、タイやベトナムなど地域各国での実施も計画中です。ぜひこのような取り組みを、現地の事情に精通しネットワークも有するJICAと取り組んでいければと期待しています。

「共創」と「国際頭脳循環」が鍵に