<両国の政治的要因が日台関係を危うくするなか情勢に流されない強固な民意が頼りに>

今回の選挙を挟んで、日台関係は2つの理由でピンチに陥る可能性がある。

1つは台湾政治での民進党の影響力低下である。今回、同党は総統ポストは辛うじて維持できたとしても、同時に選挙が行われる立法院(国会)では大幅に議席を減らす見込みだ。同党は基本的に日米との友好を基軸としている。中国との対話が断絶状態にあるなか、東アジアで孤立感を生まないよう特に日本との関係には気を使ってきた。

蔡英文(ツァイ・インウェン)総統はX(旧ツイッター)を積極的に運用し、約240万のフォロワーを抱える。1月1日の能登半島地震でもXを通していち早く日本へのお見舞いと緊急支援の意向、義援金の送付を伝える日本語の発信を連投し、その都度、10万を超える「いいね」が付く。

一方の国民党、台湾民衆党も日本を重視しないわけではないが、対米・対中バランス外交を唱える方針の中で、日本に対する力点の置き方は弱い。それに加えて現状、両党には日台関係に通じた政治家がほとんどいない。

もう1つは、日本政治における安倍派の衰退である。「台湾有事は日本有事」発言に象徴されるように、安倍晋三元首相には台湾への強い思い入れがあり、その権力強化とともに成長した安倍派=清和会には親台湾派の伝統があった。コロナ禍での台湾へのワクチン支援、台湾の半導体大手TSMCの日本進出など、日台間の大きな出来事の背後には常に安倍派人脈の後押しがあった。

だが、安倍元首相の死去、派閥の主導権争いの混乱、そして政治資金不正問題で、安倍派の影響力低下は著しい。今後の政界での発言力が維持できるか微妙な情勢になっている。

対日重視の民進党政権下であっても、台湾は福島第一原発がある福島県と近接県からの食品輸入には消極的だったし、逆に台湾が熱望する「包括的かつ先進的TPP協定(CPTPP)」への加盟も、日本が必死に動いたわけではない。それでも総じていえば、日台間には温かいムードとそれを支える「政治」の後ろ盾があったことは確かだろう。

「相思相愛」の民意が支える

民進党と安倍派の弱体化による影響は避けられないが、日台関係が1972年の断交後のように一気に希薄になるかといえば、そうとは限らない。日本と台湾には良好な相互感情に基づく民意の支えがあるからだ。

新政権下での日台が目指していくべき方向とは?
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