本誌の取材に応じたイスラエル軍の関係者によれば、2000ポンド弾の使用についてはイスラエル側が既にアメリカに譲歩している。

また状況の変化もあり、今はドローンや地上の兵士から得た情報を基に「動的」な標的を攻撃することに重点を移しているそうだ。

戦闘に勝って戦争に負ける

だが、これには不満の声もある。

米政府の干渉に激怒したあるイスラエル軍幹部は、「そんなに小型の爆弾を使わせたいなら、なぜ今まで、こんなに多くの大型爆弾を売り付けてきたのか」と述べた。

実際、アメリカは過去10年でイスラエルに3万1175発の爆弾を供与し、または供与の約束をしてきたが、その半分は2000ポンド弾だったという。

開戦から2カ月が経過した昨年12月初めの時点で、パレスチナ側は民間人の死者が少なくとも1万8000人に上り、その大半(70%)は女性と子供だと発表した。

ほかに瓦礫の下敷きになっているとみられる人が最大で6500人いるというから、合算すれば最大で2万4500人が死亡した可能性がある。

さて、これが正確な数字だとして、それはイスラエルが意図的に民間人を殺していることの証拠になるのだろうか。

そうだとして、この犠牲者数は「多すぎる」のだろうか。

例えばウクライナ戦争では、国連の「検証済み」の数字によれば、民間人の死者数は1万人前後だ。

これに比べるとガザ地区の民間人犠牲者はずっと多い。

ただしウクライナでは人口密度の高い大都市で戦闘が起きていないし、東部の激戦地からは大部分の市民が避難している。

06年にイスラエルとレバノンのイスラム過激派組織「ヒズボラ」の間で34日間にわたって展開された紛争では、レバノンの民間人1200人が死亡したと推定される。

人口密度の差を考慮に入れて換算すると、ガザ地区ならば約1万2000人(戦闘の継続日数も考慮に入れれば、さらに倍の2万4000人)に相当する可能性がある。

アメリカの軍と情報機関の関係者らは、ガザ地区の被害程度を考えると爆弾1発、あるいは標的1つ当たりの民間人の犠牲は極めて少ないという見方で一致している。

それでもガザ地区の人々の苦しみを目の当たりにすると、その見解が説得力を持つとは考えにくいだろう。

イスラエルは「これはハマスを壊滅させる作戦だとして戦闘の継続を正当化している。だが2カ月たっても、殺害できたのは戦前の推定戦闘員数の2割にすぎないと認めている」。

前出の米軍上級将校はそう言って、ため息をついた。

「これは『戦闘に勝って戦争に負ける』の典型的なケースだ。彼らがどう頑張っても、結果として民間人への(意図的な)攻撃になってしまう」

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