ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は「テスラは中国での事業を倍増させている。昨年はいくつか思わぬ問題が生じたが、マスク氏の訪中で状況が落ち着き、今後数カ月内には進展について発表があるだろう」と述べた。

テスラの上海工場は、2019年の着工から1年足らずで竣工した。

テスラ、中国は欠かせぬ存在

米国のバイデン政権はEVの国産化支援策を打ち出しており、テスラの中国依存は米国では複雑な問題だ。

しかし、テスラの上海工場は昨年、「モデル3」と「モデルY」を合計で約71万1000台生産するとともに、最大生産能力を年間100万台強に引き上げた。この工場は競合他社に対するコスト優位性の面で極めて重要で、東南アジアとカナダへの輸出を後押ししている。

テスラは2022年に131万台だった全世界販売台数を30年までに2000万台に引き上げるとの目標を掲げており、設備投資の可能性についてインドと協議しているほか、韓国やインドネシアなどの政府からも誘致の働き掛けを受けている。

中国のEV大手、蔚来集団(NIO)によると、中国がサプライチェーン(供給網)と原材料を支配しているため、中国で生産されたEVは、他国での生産に比べてコスト面で20%も有利だ。

だが、中国政府が供給過剰への懸念を強め、テスラが上海工場の増強を計画する中、EV市場参入を目指す中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)は生産許可の取得が遅れている。

また、米高級EVメーカー、ルーシッド・グループも中国での自動車生産に意欲的だが、実現できる可能性は低いとの助言を受けている、と複数の業界関係者が明かした。

シャオミとルーシッドは、コメント要請に応じなかった。

テスラが当局の承認を待たされているという状況は、5年前に初めて上海工場開設の取り決めを結んだときの温かな歓迎ぶりと対照的だ。

当時、アナリストは中国はテスラを利用し、国内のEV開発に拍車をかけることができると考えていた。強力なテスラの進出で弱小メーカーは生き残りのために迅速に動かざるを得なくなるからだ。

オートモビリティーのルッソ氏は「状況は様変わりした」と話した。その上で「ただ、テスラにとって中国は欠かせない。中国進出でサプライチェーン上の利点を手に入れ、中国での競争によって世界的により競争力のある企業になれるからだ。生産能力を手に入れられなければ、機会を逸する」と上海工場増強の意義を強調した。

[ロイター]
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