<年を追うごとに花粉の飛散時期が延び、量も増加している。天候パターンの変化で、花粉以外の悪条件も加速中>
この春、多くの人がこれまでと同じか、かつてないほどひどい季節性アレルギーに苦しんでいる。現在約40%の人が1つ以上のアレルギー症状を抱え、残念ながら今後の見通しもあまり明るくない。
一体なぜか。医療人類学者のテリーサ・マクフェールはアレルギーの歴史を調べ、アレルギーが広がっている原因を新著『アレルギー──変化する世界が炎症を引き起こす(Allergic: Our Irritated Bodies in a Changing World)』(未邦訳)で探っている。
食物アレルギー、ぜんそく、皮膚炎、環境エネルギーなどあらゆるアレルギー症状が増えている理由と私たちに何ができるかを説く。ここでは特に、気候変動が花粉症が増加している主要因であると論じた部分を中心に抜粋する。
科学研究者たちは最近の環境の変化が人間の免疫システムを圧倒し混乱させて、過去100年間に世界中で全てのアレルギー症状の割合を増加させている証拠を収集。私たちが呼吸する空気の変化がアレルギー疾患の発症リスクの増加と相関していることを突き止めた。
全てのアレルギーの増加はある程度は環境によるものだという考えを裏付ける特に有力な証拠は、恐らくヒトの白血球の研究から得られるかもしれない。
白血球のうち免疫システムの司令塔的な役割を果たすのがT細胞だ。イギリスの非営利研究機関ウェルカム・サンガー研究所の2020年の研究によれば、T細胞が過去に抗原(イエダニなど)に反応した回数が多いほど反応が速くなるという。
抗原に暴露した経験のないT細胞に特定の化学信号を与えると、最初は免疫反応を沈静化もしくは制限した。だが抗原に暴露した経験のあるT細胞の場合は逆に炎症を増加させた。
言い換えれば、スギ花粉や粒子状物質(PM)への暴露回数が多いほど反応が激しい可能性があるということだ。花粉量が多く大気の質が悪い場所では、呼吸器系アレルギーやぜんそくが増え、ひょっとするとより重い症状を起こす可能性もある。