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タカ派外交と「軽武装」路線からの転換には戦争のリスクが(2006年) ISSEI KATO-REUTERS

こうしてみると、安保問題について世論を押し切り、国外から評価を獲得した安倍政権は「勝者」に見えるのかもしれない。

だが、歴史はそう単純なものではない。

生前の安倍が最もこだわっていたのは、憲法改正だった。支持率に直結する景気を上向く状態を維持しつつ、野党がまとまらないタイミングで解散を仕掛け選挙で勝利を収める。その先にあったのは、保守政治家として改憲を果たした史上初の総理として歴史に名を残すという悲願だったのだろうが、最後まで実現しなかった。

読売新聞のインタビューで2017年、唐突に憲法9条に3項を加えて自衛隊を明記するという案を提示したにもかかわらず、だ。

より現実的に公明党や中道の野党政治家からも支持を得やすい案ではあった。だが森友、加計学園問題、桜を見る会とスキャンダル対応が続き、改憲議論は後回しになった。強い思いで打ち出した改憲は近づくどころか、対立図式が温存されたまま残ってしまった。

安倍は味方に対しては融和的に、民主党、護憲派といった「政敵」には攻撃的に振る舞った。異論を持つ者に寛容であったり、丁寧な説得を試みたりするということはなかった。

安倍の姿勢に呼応するように対抗するリベラル野党側も対立を打ち出し、支持者も含め、ふわっとした「反安倍政治」が結節点になっていった。

進んだのは、政治の短絡化である。

リベラル野党の政治家の多くは先に見たように、金融緩和政策でも反対論を強めた。その論理は安倍政権が採用したからという受け身のものでしかない。安倍政権が取った安全保障政策についても現実的な解を示せないまま、今に至る。

一致した政策を練り上げることよりも、目先にある最もホットかつ政権にダメージを与える話題をメディアを通じて争点化すること。そして、岩盤リベラル層がいるSNSで訴えることに力を入れるようになってしまった。

一度、攻撃的な言葉を覚えた支持層は保守、リベラル問わず現実的な落としどころを探る動きを生ぬるく感じるようになってしまう。

批判は信頼関係を基盤とするが、対立に信頼はない。国葬が終わった後も続くであろう対立と相互不信を乗り越えることができるだろうか。

楽観的なシナリオは、そう多くは用意されていないように思えるのだが......。

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