ロシア批判を控えているもう1つの大国が、世界最大の民主主義国でクアッド(日米豪印戦略対話)のメンバーでもあるインドだ。

インド・ロシア・中国の関係

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中国を牽制したいインドのモディ首相 LISI NIESNER-REUTERS

インドはこれまで、ロシアを非難する3つの国連決議案の全てに棄権してきた。

またブチャで多数の民間人が殺害されたことについて、ナレンドラ・モディ首相は「非常に憂慮」していると述べ、同国の国連大使も「殺害を全面的に非難し、独立機関による調査を求める」と発言しているが、この件に関してロシアに責任があるとは言っていない。

なにしろインドは、今もロシアから武器や石油を買い続けている。インドの軍備の3分の2はロシア製で、ロシアの軍事産業にとってインドは最大の顧客だ。

モディがロシアを非難できないのは、中国と対抗する上でロシアの仲介ないし協力が不可欠だからでもある。実際、2020年に中印国境地帯で衝突が起きた際は、ロシアが緊張緩和に動いている。

それに、インドは20世紀の東西冷戦時代に「非同盟諸国」のリーダーとして、アメリカに対して懐疑的な立場を取ってきた。だから今も、国民の間にはロシア(旧ソ連)に対する一定の親近感がある。

しかし今のインド政府はクアッドのメンバーとして、アメリカと新たな戦略的パートナーシップを結んでいる。

ロシアとの伝統的な関係とアメリカとの新たな関係のどちらを取るか。その舵取りは難しい。

一方、過去10年におけるプーチン外交の大きな成功の1つはロシアの中東回帰だ。

プーチン政権はソ連崩壊後に撤退した中東地域の複数の国と外交関係を復活させ、ソ連時代に交流がなかった複数の国とも新たに緊密な関係を築いてきた。

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プーチンと親しいサウジアラビアのムハンマド皇太子 BAHRAIN NEWS AGENCY-REUTERS

結果、今のロシアは中東地域の全ての国と話せる立場にあり、あらゆる紛争当事者と対話ルートを維持している唯一の主要国だ。

そうした事実が、ウクライナ侵攻に対する中東諸国の反応に影響を与えている。

例えば国連人権理事会におけるロシアの理事国資格停止決議では、多くのアラブ諸国が棄権した。

サウジアラビアやアラブ首長国連邦、エジプト、イスラエルはアメリカの同盟国だが、ロシアへの制裁には加わっていない。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子はウクライナ侵攻後も2度にわたり、プーチンと電話会談を行っている。

イスラエルがロシアと交わした交戦回避の合意