●アメリカが最近行っている対中批判のほとんどをG7に持ってきたが、コミュニケのトーンは、アメリカが単独で言ってきた対中攻撃の勢いに比べてずっとトーンダウンしている。

●それは何を意味するかと言うと、どんなにアメリカが頑張ってみたところで、他のG7のメンバー国は、それほど中国と対立したいとは思っていない現実を表しているのである。

●たとえばアメリカは新疆に関しては「種族絶滅」(ジェノサイド)が発生しているとさえ公然と言っているが、しかしG7コミュニケではもっと柔らかな表現しかない。これはアメリカが西側諸国を誘い込むことは出来ても、決してアメリカの思い通りに西側諸国を動かすことは出来ないことを物語っている。特にドイツやイタリアおよびEUの指導者は、G7コミュニケが「中国と敵対するためにあるのではなく、中国と話し合ってうまく付き合っていくためにあるのでなければならない」と主張した。その結果、コミュニケは「アメリカが主導してはいるが、各国の妥協の産物でしかない」。

●おまけにこれらは世論と外交の面でのみ(言葉の上で)何とか妥協できる性格のもので、実際の行動で何かできるかと言うと(筆者注:たとえば経済的に封鎖するといった実力行動などができるか否かと言うと)、それは非常に困難だろう。事実、コミュニケにはそのような具体的なものは何も書かれていない。これはすなわち利害関係においてG7メンバー国内では巨大な違いがあることを意味している。

●アメリカが自国の覇権を維持するために、どんなに「対中統一戦線」を組もうとしても、経済関係など他の面において、ヨーロッパ諸国は中国と不可分の協力関係にある側面がそれぞれあり、その差異を乗り越えることは、アメリカには出来ない。アメリカは自ら挫折することだろう。

実はアメリカの足を引っ張っていた日本・イタリア・ドイツ

日本・イタリア・ドイツがアメリカの足を引っ張り、日本がいかに優柔不断で孤立していたかを論じる報道がアメリカで見られる。たとえばアメリカのVOA(Voice of America)やワイントン・ポストなどの記事である。

6月12日付けのVOAは"G-7 Split on Biden's Anti-China Push"(G7、バイデンの反中推進に賛否両論)という見出しの報道をしているが、その中で「イタリア、ドイツやEU代表は反中推進に消極的で、むしろ中国に協力的な傾向にあるが、(中略)日本は最もどっちつかずで躊躇している(アンビヴァレントだ)」と表現している。