(3)商品を分散する

商品分散は、その名の通り、さまざまな運用商品に資金を振り向けることで、ひとつの商品のリスクを限定化、またはリスクを乗じることでトータルのリスクを低減化させる手法です。複数の銘柄に投資する、複数の業種に投資することなども商品分散によるリスクヘッジです。

多くの方がごく普通にやっていることかもしれませんが、リスクヘッジという点においては非常に効果的ですので、必ず実践したい手法です。また、商品を分散させることで、ひとつのことに心理が集中してしまうことを防ぐ意味もあります。

●一点集中が損失を招きやすい理由

人間には個別のことにばかり目が向く傾向があり、そうと知らずに大きなリスクや不利な選択をすることがあります、「ナローフレーミングの罠」といわれる現象です。

とある研究で、次の2つの投資行動をとる場合、どういう組み合わせの選択をするか、というアンケートが行われました。

投資行動①:AかBを選びなさい。

(A)確実に240ドルをもらえる

(B)25%の確率で1,000ドルが得られ、75%の確率で何ももらえない

投資行動②:CかDを選びなさい。

(C)確実に750ドルの損失を被る

(D)75%の確率で1,000ドルの損失を被り、25%の確率で何も支払わない

投資行動①では全体の84%がAを選択し、②では87%がDを選択したそうです。しかし、多くの人が選択した組み合わせ(AとD)と、選択しなかった組み合わせ(BとC)で比較してみると、あれ?っとなります。

A+D=25%の確率で240ドルを得られ、75%の確率で760ドルの損失を被る

B+C=25%の確率で250ドルを得られ、75%の確率で750ドルの損失を被る

こうして組み合わせで見てみると、B+CのほうがA+Dよりも明らかに有利であることがわかるのです。つまり、選ぶべきはB+Cの組み合わせということです。ひとつのこと(銘柄、商品)に囚われるとミスを犯してしまいがちな典型例だといえるでしょう。

最大のリスクヘッジは自分の心構え

株式投資の「保険」ということで様々なリスクヘッジを説明しましたが、自動車の運転でも、保険はかけるけれども、それを実際に使用することがないように安全運転を心がけるのが大事ですよね。それと同様に、投資でもトレードでも、安全運転を心がけて平常心を保つ、という心理面が最も重要です。

ただし、ヘッジしたことでリスクが減れば、それだけリターンも減る可能性があるということを念頭に置く必要があります。ある程度のリスクを内包、承知しながら投資行動をとらなければ、リターンは得られないのです。

そのうえで、リスクを生じさせる最も大きな要素は、継続的な行動を取れないことにあると言えます。車の運転と同じように、常に冷静に、同じような行動を取れるような心構えを持っておくことが、最大のリスクヘッジになるのではないでしょうか。

2020/10/06

[執筆者]

鳳ナオミ(おおとり・なおみ)

大手金融機関で証券アナリストとして10年以上にわたって企業・産業調査に従事した後、金融工学、リスクモデルを活用する絶対収益追求型運用(プロップ運用)へ。リサーチをベースとしたボトムアップと政治・経済、海外情勢等のマクロをとらえたトップダウンアプローチ運用を併用・駆使し、年平均収益率15%のリターンを達成する。その後、投資専門会社に移り、オルタナティブ投資、ファンド組成・運用業務を経験、数多くの企業再生に取り組むなど豊富な実績を持つ。テレビやラジオにコメンテーターとして出演するほか、雑誌への寄稿等も数多い。現在は独立し、個人投資家として運用するかたわら、セミナーや執筆など幅広い活動を行う。

※当記事は「株の窓口」の提供記事です
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