ジョージアでは2018年の中間選挙後の8カ月で、20万人弱が新たに有権者登録をし、その大半が支持政党に民主党を選んでいた。その事実を指摘した上で、彼女は20年の秋までにさらに30万人(うち20万はアフリカ系)の新規登録が見込まれると予想した。トランプに幻滅した大卒の白人も多いだろうと見込んだ。

敵も認めるリーダーシップ

だから今までの数字だけで判断しないでくれ、ジョージアはもっとできる。エイブラムスはそう訴えた。人口の3割を占めるアフリカ系の票をもっと掘り起こす「前例のない資金」を投じてくれと。

州知事選の際、エイブラムス陣営は無党派の票は少ないと計算していた。投票総数400万のうち、せいぜい15万くらいだと。しかし今回は違う。トランプが相手なら、新たに相当な数の無党派層を取り込めると見込んでいた。

知事選での善戦は有権者の開拓に資金を惜しまなかった成果であり、その勢いを維持できれば今度こそ勝てる。2年前には諸般の事情で棄権に回った約8万人を、投票所に連れて行ければ勝てる。エイブラムスはそう主張した。そうすれば「民主党は大統領選に勝ち、上院でも連邦下院の第6、第7選挙区でも勝ち、州議会の過半数も取れる」と。

党本部は彼女に下院選への出馬を勧めたが、エイブラムスは辞退し、有権者登録の促進活動に専念した。「予備選に名乗りを上げた主要候補には直接会って、2つのことを伝えた」と、政治ニュースサイトのポリティコに語っている。「1つ、投票抑圧は現実に起きており、そのせいで民主党は負けた。2つ、ジョージアは激戦州であり、ここを重視しないのは致命的なミスになる。幸い、どちらのメッセージも真摯に受け止めてもらえた」

今回、民主党陣営は投票率の大幅な上昇に助けられた。エイブラムスたちの活動だけでなく、運転免許の取得・更新時に有権者登録もできるようにした州の施策も効いた。

こうしたエイブラムスの活動には敵も一目置いている。「ジョージアのためにあなたがしたことはリーダーシップのかがみだ」と、かつて共和党全国委員会の委員長を務めたマイケル・スティールはツイートした。「あなたは国に手本を示した」

この年末も、エイブラムスに休んでいる暇はない。地元紙によれば、共和党保守派の支援団体は1月5日の上院選決選投票に向けて100万ドルを投じる予定だ。妊娠中絶反対派の組織も400万ドルを出すという。

負けてはいられない。エイブラムスは11月7日に、ツイッターでこう呼び掛けた。「ありがとう、ジョージア。私たちは力を合わせて州の未来をいい方向に変えました。でも、まだ仕事は終わっていません」

<本誌2020年12月8日号掲載>

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