Andrea Shalal
[ワシントン 5日 ロイター] - 世界銀行は5日公表した年次国際債務報告書で、低・中所得国の対外債務残高が2025年に前年比5.5%増の9兆4000億ドルと、過去最高を更新したと明らかにした。
報告書によると、25年の対外債務の伸び率は21年以来の高水準となった。世銀は教育やインフラ整備、保健、雇用創出などに必要な投資を圧迫する恐れがあると警告した。
低・中所得国の国際金融市場へのアクセスは改善しているものの、最貧国の借り入れコストは依然として高水準にある。民間債権者からの新規融資の平均金利は8.2%と1989年以来の高水準で、国際金融市場における新発債の利回りも平均9.4%に達した。
一方、国際開発協会(IDA)の低利・無利子融資の対象外となる比較的信用力が高い国々の新規国際債の平均利回りは5.5%で、2024年の5.8%から低下して資金調達環境が改善した。
報告書は、低・中所得国による民間債権者からの借り入れや公的機関による債券発行額が前年比約35%増の2510億ドルとなり、過去5年で最高を記録したと指摘。世界で特に所得水準が低いIDA融資対象国の対外債務は8.1%増の1兆3000億ドルと、特に大きく膨らんだ。
世銀のハイシャン・フー主任統計官は「民間融資の回復は歓迎できるが、多くの国はより多く借り入れ、より多くの支払いを行い、その結果として長期的な開発に充てられる資金が減っている」と指摘した。
報告書によると、多くの政府は償還期限を迎える債務を借り換えるために新たな債券を発行しており、返済期間を延長する一方で、金利負担は増加している。こうした動きは今年に入っても続き、8月中旬までに10カ国超が既に25年通年の発行額を上回った。
低・中所得国が25年に支払った元利の総額は1兆4000億ドルと、5年連続で増加した。このうち民間債権者向け支払いは13.7%増の3630億ドルだった。
また途上国全体では22-25年に受けた新規融資額を債務返済額が4360億ドル上回った。ただ、25年は長期債務に関する資金フローが450億ドルの純流入に転じた。
報告書は、米ドルの大幅な下落も途上国の債務増加要因になったと分析した。ドル以外の通貨建て債務のドル換算額が膨らみ、債務増加分の28%超を占めたという。
世銀は、高まる債務返済負担が投資の停滞や雇用機会の減少につながり、途上国の経済的な脆弱性を高める恐れがあると警告。債務の透明性向上やデータ整備の強化も求めた。新たな債権者や金融商品、保証契約などの拡大により、各国の債務実態が把握しにくくなっているとの見方も示した。