Promit Mukherjee David Ljunggren Maria Cheng
[オタワ 5日 ロイター] - カナダのカーニー政権が策定した予算案は、石油収入を活用して今後5年間にわたって生産性を高め、インフラ整備を推進する方針を示した。トランプ米大統領がカナダからの輸入品の一部に追加関税を課したことを背景に、貿易の大部分を占める米国への依存を緩和する狙いがある。
カーニー政権による予算案の提出は今回が2回目で、シャンパーニュ財務相が議会下院での承認を求めるために提出した。カーニー首相が率いる自由党は、下院で過半数の議席を占めている。
トランプ関税はカナダのサプライチェーン(供給網)を混乱させ、対米輸出を縮小させるとともに経済成長に打撃を与えてきた。一方、米国とイスラエルのイラン攻撃に端を発した中東紛争による原油価格高騰が、産油国であるカナダに財政的な追い風をもたらしている面もある。トランプ氏が率いる共和党は、3日投票の米中間選挙で野党民主党に惨敗した。
主に石油収入の増加により、政府には4月以降に1583億カナダドル(約1132億米ドル)の追加財政余地が生まれた。うち最大1421億カナダドルを、4月以降に発表された100億カナダドルの追加分と合わせて今後5年間にわたって支出する計画だ。
新たな支出の大部分は恒久的な税制優遇措置に充てられ、これによって企業が投資費用を前倒しで経費計上できる。また、カナダの建設業界向けの税制優遇措置や、インフラ整備、物価高騰による家計負担を軽減するための食料品還付金の増額、社会住宅向けの優遇措置、防衛費にも充てられる。
連邦政府の債務残高は2026―27会計年度の約1兆3700億カナダドルから、30―31年度に1兆5900億カナダドルへ膨らむ見込みだ。ただ、GDP予測を上方修正したのに伴い、債務残高の対GDP比は横ばいとなる見通しだ。
エコノミストやアナリストが注視する債務の利払い費は、26年に11%なのが5年後には13.6%へ上昇すると見込んでいる。
26―27年度の名目GDP成長率は、政府の前回予測を1.5ベーシスポイント上回ると見込まれている。
政府は28―29年度までに経常的な運営支出と歳入を均衡させることと、財政赤字のGDP比の低下傾向を維持するという二つの財政目標を達成すると強調した。
CIBCキャピタル・マーケッツの経済担当エグゼクティブディレクター、ヘレン・ラオ氏は「今回の予算案は、従来強調していた重点方針を引き継いでいる」と指摘。25―26年度の財政赤字が393億カナダドルとなり、政府が今年4月に予測していた669億カナダドルより大幅に少なかったことが支出拡大を可能にしたと分析した。
その上で、今後数年間の投資が経済成長をどの程度けん引するかが最大の不確実要素になるとの見解を示した。
一方、調査会社シグナル49リサーチのチーフエコノミスト、ペドロ・アントゥネス氏は予算案について「適切な施策を講じている」と評価しながらも、「リスクとしては債務残高が高止まりし、債務調達のコストが上昇し続ける可能性がある」と警告した。