[東京 6日 ロイター] - 日本政府は、ロシアのプーチン大統領が日本たばこ産業(JT)海外子会社のロシア国内資産を一時管理下に置く大統領令に署名したことを受け、措置の撤回を求めた。財務省が37.55%の株式を保有するJTにとって、ロシアはグループ全体の売上収益約10%を占める主要市場。6日の東京株式市場でJT株は売り注文が殺到し、寄り付いていない。
片山さつき財務相は6日午前の閣議後会見で、「外交ルートを通じてロシアに抗議した」ことを明らかにした。関係省庁と連携して適切に対処する考えも示した。赤沢亮正経済産業相によると、同省は審議官らをロシアに派遣中だった。9月以降、西側諸国企業の資産がロシアの一時管理下に置かれる事例が続いていたことから警戒し、日本企業の資産保全を働きかけるため訪ロしていた。審議官らは現地でロシア政府に抗議した。
ロシアのプーチン大統領は、JTの海外子会社JTインターナショナル(JTI)のロシア国内資産を一時管理下に置く大統領令に署名した。5日に公表された大統領令で明らかになった。ロシアのウクライナ侵攻以降、トヨタ自動車など日本の主要企業の間では撤退や事業を停止する動きが相次いだが、JTIは操業を続けてきた。
「キャメル」などを扱うJTにとってロシアは主要市場。市場シェアは約35%とトップで、ロシア事業はグループの調整後営業利益の約25%を占める。JTはロイターの取材に、ロシア大統領令は認識しているとした上で、「従業員らを最優先に、状況や今後の選択肢を精査している」と答えた。現時点でそれ以上のコメントは控えるとした。
外務省によると、ロシアに進出する日系企業は25年10月末時点で321社。ウクライナ戦争が始まる前の21年10月1日時点では416社だった。現在もロシアに残る日本の主要企業には、建設・鉱山機械大手のコマツやタイヤ大手の横浜ゴムなどがある。コマツは22年にロシアで生産を停止したが、今も施設を保有するほか、補給部品の供給などアフターサービスの拠点がある。横浜ゴムは原料調達が難しくなり一時生産を止めたことがあったが、今は再開している。JTの事案を受け、両社とも状況を注視している。