厄介な相手にどう対処すればいいのか

この問いに対して著者は、カウンセリングでも重視される「積極的傾聴の姿勢」の重要性を説いている。ポイントは、相手に関心を向け、言いたいことや気持ちを「わかりたい」という思いを持ちながら話を聞くこと。その際に重要なのは、「相手の話を遮らずに聞くこと」「自分が話すよりも聞くことを意識すること」だ。

相手の話をコトバとして聞いてはいても、その奥に込められた思いまでは汲み取ろうとしていないことが多い。そのためズレが生じ、お互いにイライラすることになるわけである。

たとえば、ひとこと聞いたところで「それは違う」と感じたとしよう。だから、「相手はどんな気持ちなのか」「なぜそう思うのか」をわかろうとしないまま、相手を否定するような言葉を返してしまうのだ。しかし、それでは相手の不満が解消するはずもない。

そこで著者は、「積極的傾聴の姿勢の8ポイント」を明らかにしている。

 ① 相手に興味をもつ

 ② 相手の話に意識を集中する

 ③ うなずきを多用する

 ④ 相づちを打ちながら聴く

 ⑤ 共感を示しながら聴く

 ⑥ 相手の言葉の一部を繰り返す(オウム返し)

 ⑦ 質問をすることで、関心をもって聴いていることを伝える

 ⑧ 似たような経験が自分にもあれば、それを簡単に話す

 (196ページより)

このような姿勢を意識しながら聴けば、相手は「聴いてくれているな」と実感することができるため気持ちよく話せるということだ。それだけではない。遮られることなく(ストレスを感じずに)思いを吐き出すことができれば、気持ちが落ち着き、すっきりするだろう。

さらには、「自分の思いに耳を傾けてくれ、共感してもらえた」と感じることによって気持ちがほぐれるため、必要以上の被害者意識を抱くこともなくなる可能性がある。そうなれば、こちらの言うことにも耳を傾けようという気になってくれるため、コミュニケーションが円滑になるわけだ。

ビジネス書でよく見かける話でもあり、決して突飛なことではない。だが結局のところ、相手の言いたいことや気持ちをわかろうとするという“当たり前の姿勢”はやはり大切なのだ。

もちろん、こういう姿勢を示せば、すぐに相手の態度が変わるとは限らない。しかしそれでも、心にとどめておき、さりげなく実践してみるだけの価値はあるのではないだろうか。

『被害者意識が強すぎる人たち』

 『被害者意識が強すぎる人たち』

  榎本博明・著
  祥伝社新書

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[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。他に、ライフハッカー[日本版]、東洋経済オンライン、サライ.jpなどで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。『遅読家のための読書術』(ダイヤモンド社)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『この世界の中心は、中央線なのかもしれない。』(辰巳出版)など著作多数。2020年6月、日本一ネットにより「書評執筆本数日本一」に認定された。

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