Echo Wang Krystal Hu Milana Vinn

[ニューヨーク/サンフランシスコ 5日 ロイター] - 人工知能(AI)開発企業アンソロピックの新規株式公開(IPO)への参加を検討している投資家の間で、同社が11月中の上場に向けて来週に予定しているロードショー(投資家向け説明会)を実施できるか疑問視する声が上がっている。投資家との協議に詳しい関係者4人が明らかにした。

関係者によると、投資家はIPOへの参加を確約する条件として、より魅力的な企業評価額を求めている。一部の投資家は最近取り沙汰されている1兆5000億ドルの評価額について、予想の上限付近と見なしているという。

こうした協議には、足元の急激なハイテク株売りや、IPOの見通しを曇らせる地政学的な不確実性が影響している。

アンソロピックはコメントを控えた。

ロイターがこれまでに報じたところによると、ロードショーは当初、11月9日からの週に始まり、その翌週に公開価格が決まる見通しだった。

関係者によると、アンソロピックは投資家の参加を取り付けるため、より大幅な評価額引き下げが必要となる可能性がある。同社は四半期ベースの赤字が続いてきたほか、AIインフラ整備に向けて多額の支出を約束しており、資金調達が必要なことを投資家が認識しているためだ。

関係者2人によると、投資家はアンソロピックの10月の売上高にも強い関心を寄せている。同社はIPO目論見書「S1」の更新版でこの数字を空欄にしており、ここ数カ月鈍化していた成長が加速に転じたかどうかを見極めようとしている。

米中間選挙後のAI関連株の下落を受け、ウォール街とシリコンバレーでは5日、同社がIPOを進めるかどうかを巡り臆測が飛び交った。

多くの州でデータセンター開発を制限する住民投票案が可決され、データセンターやAIのその他の側面に対する政治的な反発が鮮明になっている。こうした中でIPO延期を決めれば、AI関連産業全体の健全性への懸念が一段と強まりそうだ。

アンソロピックの延期は、大手ハイテク企業の比重が大きい株式市場全体にも打撃となる恐れがある。AI分野で特に注目を集める同社が資金調達に苦戦しているとの見方が広がれば、こうした企業のバリュエーションも下押しされる可能性が高い。

同社のIPOは今年に入って一時、10月に実施され、最大2兆ドルの評価額を目指すとの見方も出ていた。

過去1カ月のAI関連資産の売りで投資家心理は悪化したものの、多くの投資家はAIインフラ整備に引き続き強気だ。一部のアナリストは、先に上場したスペースXと同様、アンソロピックも個人投資家の旺盛な需要の恩恵を受ける可能性が高いとみている。

ウォール街はアンソロピックと投資家が評価額で折り合うと予想しているが、その場合でも、年内にIPOを実施するかどうかは他の要因にも左右される可能性がある。

投資家との協議に詳しい関係者によると、AI関連資産への下押し圧力が続けば、同社は市場が持ち直し、1000億ドル規模ともみられるIPOを円滑に消化できる状況になるまで延期する可能性がある。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。