Andrew Mills Maha El Dahan
[ドーハ 29日 ロイター] - 国営カタールエナジーの最高経営責任者(CEO)を務めるカアビ・エネルギー担当国務相は29日、ロイターの取材に応じ、ホルムズ海峡の通航停止に伴うカタール産液化天然ガス(LNG)の輸出への打撃に対処する目的で、米国など第三国産LNGを長期契約で調達する新たな戦略を進めていると明らかにした。海峡封鎖時の価格急騰を収益機会に変え、自社収入の減少を補う狙いだ。
カタールは世界有数のLNG生産国。世界のLNG輸出の約5分の1を占め、その全量がホルムズ海峡を通る。
2月末の米国とイスラエルによるイラン攻撃、それに続くイランによるカタールへのミサイル攻撃を受け、カタールエナジーは3月初めにLNGの生産を停止し、3月4日には影響を受ける買い手に不可抗力(フォースマジュール)を宣言した。不可抗力宣言は2026年末まで延長している。
カアビ氏は「海峡閉鎖は直ちにガス価格急騰につながる。その際に収益を生み出し、本来失われるはずだった収入の一部を補うことができる」と説明した。
カタールエナジーはこの戦略の一環として、29日にオーストラリアのウッドサイド・エナジーの米国LNG事業から年間300万トンを20年間購入する契約を締結した。さらに前週には米シェニエール・エナジーとの間で、LNG基地から2054年まで最大年間400万トンを調達する契約を結んでいる。
カアビ氏は、米国などの生産事業者と期間20-25年の長期供給契約を年内に締結する見通しも示した。調達目標は直近2週間で契約した年間700万トンを「大幅に上回る」規模になると述べたが、具体的な数量は明らかにしなかった。
新たな戦略は約3カ月前にカアビ氏が自ら発案。パイプラインによる代替輸送も検討したが「パイプラインや圧送設備も攻撃対象になり得る」と判断し断念したという。
カアビ氏は、世界最大規模となる約200隻のLNG船団やガス取引部門を活用することで、多額の設備投資を行わずに対応できると説明した上で「通常時でも一定の利益を得られるが、危機時には大きな利益を生み出せる」と指摘。米国の天然ガス価格と欧州価格との価格差を利用した取引によって「大きな裁定利益を得ることができ、それが損失の一部を埋め合わせる」と語った。