Mrinmay Dey Vallari Srivastava

[シンガポール 30日 ロイター] - 30日の暗号資産(仮想通貨)市場でビットコインなどが下落している。世界最大の交換業者バイナンスがセキュリティー侵害が発生した可能性を明らかにし、30億ドル相当の暗号資産を凍結したと発表した。

バイナンスの共同創業者イー・ハー氏は「ハッキングによる損失は全てバイナンスが補償する」と述べたが、今回の事案の詳細は明らかにしなかった。

ハッキングの可能性が伝わり、30日アジア時間の市場に直ちに影響が広がった。分析会社チェイナリシスによると、ハッキングが確認されれば、暗号資産の盗難として過去最大規模となる可能性がある。

ビットコインは約2%下落し、7万7646ドルと6週間ぶりの安値を付けた。イーサも約2%下落し、2238.76ドルと2カ月ぶりの安値となった。暗号資産情報サイトのコインゲッコーによると、バイナンスの手数料支払いに利用できるトークン「BNB(旧バイナンスコイン)」は過去24時間で8%超下落し、694ドルとなった。

米国株式市場の時間外取引では、暗号資産交換業者コインベース・グローバルの株価が4.8%下落。ビットコインへの投資を手がけるストラテジーも6%近く下落した。

バイナンスは法執行機関やトークン発行元、ブロックチェーン分析会社など業界関係者と協力して追加資産の追跡・凍結を進めており、凍結額は今後増える可能性があるとしている。

現在はバイナンスの経営に関与していない共同創業者のチャンポン・ジャオ氏は、 今回の事案は「ハッキングのように見える」とXに投稿した。

デジタル資産の売買・取引サービスを提供するバイナンスは、世界で3億3500万人超の登録利用者を抱える。同社の2024年の年次報告書によると、預かり資産は約1600億ドルだった。

<利用者保護の基金を運営>

バイナンスのウェブサイトによると、同社はセキュリティー侵害が発生した場合などに利用者の資産を保護するための基金を運営しており、基金の準備資産は全てビットコインで保有されている。

決済・ステーブルコインのインフラを提供するトレース・ファイナンスのベルナルド・ブリテス最高経営責任者(CEO)は「人工知能(AI)が脆弱性を見つける速度に修正が追い付かず、ハッキングへの対処は非常に難しくなっている」と指摘。「利用者は中小の交換業者から離れていくとみている。相応の規模のハッキング被害を補償できない業者に資金を預けておくのは、リスクが高くなり過ぎている」と語った。

テザーは、今回の事案に関連して約15億7000万ドルの資産を凍結したと表明。ステーブルコイン発行会社のサークルは8億ドル超を凍結した。

バイナンスは、セキュリティーチェックを実施しており、問題が完全に解決し次第、出金を再開すると説明した。利用者の資金は引き続き安全で、担当チームが調査しているとした。予防措置として、同社のプラットフォーム「バイナンス・アルファ」での取引も一時停止した。

トランプ米大統領と一族に関係する暗号資産企業ワールド・リバティー・ファイナンシャルは29日、「バイナンスへのハッキング」で盗まれた資金について、暗号資産の保管・管理を手がけるビットゴーと協力して凍結したと発表した。バイナンスのハー氏によると、2700万ドル相当のステーブルコインと約200万ドル相当のワールド・リバティーのトークンが凍結された。

ハー氏によると、暗号資産会社リップルも約2億ドルの資金を凍結した。リップルのステーブルコイン担当シニアバイスプレジデント、ジャック・マクドナルド氏は、バイナンスに関わる脆弱性を悪用した攻撃の可能性について報道を注視しており、影響を受けた資金の凍結と関係者との調整を進めていると述べた。

<相次ぐ暗号資産の盗難>

ブロックチェーン分析会社アーカムのミゲル・モレル最高経営責任者(CEO)は、データからは何者かがハッキングによってバイナンスから数十億ドルを盗んだように見えるが、正確な原因は確認されていないと説明。事案は米東部夏時間29日午後4時30分(2030GMT、日本時間30日午前5時30分)ごろに始まり、なお続いているようだと述べた。

別会社であるバイナンスUSは、今回のセキュリティー問題の影響を受けていないと発表した。

コインベースも、影響は受けておらず、状況を注視していると述べた。

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