Tamiyuki Kihara

[東京 28日 ロイター] - 高市早苗首相とドイツのメルツ首相は28日、首相官邸で会談した。人工知能(AI)や重要鉱物など幅広い分野で戦略的連携を強化することで一致する中、メルツ氏は日英伊3カ国が進める戦闘機共同開発への参画に意欲を示した。日本側が懸念する日本製電気自動車(EV)が欧州で優遇措置の対象外となる問題には触れなかった。

メルツ氏は会談後の記者発表で、日本との防衛協力を一層強めていくと表明した。その上で、日英伊による次期戦闘機開発計画「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に言及。ドイツが参画を検討しているとし、「共同開発が可能かどうか検討したい」と述べた。

並んで記者発表に臨んだ高市氏は、日独を「不可欠な相互補完性を持つプレミアム・パートナー」と位置付けることで合意したと述べた。「相互補完が可能な防衛産業分野」での協力推進を強調し、「厳しさを増す国際情勢の中で、日独の連携はかつてなく重要だ」と語ったものの、GCAPには触れなかった。

日本はGCAPを通じ、航空自衛隊F2戦闘機の後継機の調達を計画している。日英伊3カ国は2035年の初号機配備を目指しているが、新たに参加国が加わると開発が遅れ、F2の退役に間に合わなくなる恐れがあるとの考えが日本政府や与党内にはある。政府関係者によると、技術的な強みがドイツと似通っていることも、日本が開発分担を確保する上で懸念となっている。

一方、両首脳は戦略分野で産業協力を進めることで一致した。高市氏は重要鉱物や半導体などのサプライチェーン(供給網)強靱化で連携を深めるほか、AIをめぐる課題に共同で取り組むため「日独AI対話」を立ち上げる意向を示した。首脳共同声明とともに、先端科学技術協力および経済安全保障に関する首脳共同宣言を発出することでも合意した。

EUが欧州製EVの域内普及を促す優遇措置を検討していることには、両首脳とも言及しなかった。日本政府や自動車産業からは日本製が欧州市場から排除されるとの懸念が出ており、赤沢亮正経済産業相はメルツ氏が同席したこの日の日独ハイレベル経済サミットであいさつし、「強く懸念している」と述べた。

また、トヨタ自動車の近健太社長は日独企業代表団の一員として高市、メルツ両首脳を表敬訪問。その後にロイターの取材に応じ、今後も日本政府やEUに働きかけをしていく考えを示した。「日本の生産車がEU生産車と同等の扱いをされるような形が顧客にとって、自動車産業にとって、自動車文化にとって一番良いと思っている」とした上で、「そういったことをお伝えする機会があれば、その都度お伝えしたい」と語った。

(鬼原民幸 編集:久保信博)

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