Nicholas P. Brown Danielle Kaye

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 中東情勢や関税の引き上げ──。生活費の高騰は今、米国の消費者にとって主要な懸念事項となっている。中間選挙を1週間後に控え、報道や世論調査では、トランプ大統領率いる与党共和党に逆風が吹く。家計の苦しさは、実際に投票先を左右するのか。ロイターは、東部ニューヨーク、ニュージャージー、ペンシルベニアの3州の激戦地区で、自らを労働者階級または中産階級だと位置づける買い物中の有権者20人超に話を聞いた。

取材では、トランプ政権の輸入関税引き上げや、イラン攻撃を契機とした中東紛争によるエネルギー価格上昇などを背景としたガソリン代や食料品価格の高騰が最大の関心事だとの回答が大部分を占めた。多くはこれまでより強い切迫感を持ち、過半数は野党民主党の候補者に投票する方向だと述べた。一方で、過去に現職の共和党下院議員に投票したと答えた10人のうち8人は、今回も共和党候補に投票すると語った。

ニューヨーク州第17選挙区。ピークスキル在住の共和党寄りの自営業ジョン・ビアーズさん(74)は16日、食料品の価格が「がくぜんとするほど」上昇していることを嘆き、価格がすぐに落ち着かなければ「非常にがっかりする」とも話した。家計を抑えるためにコーヒーを安価なものに切り替え、アボカドオイルやイワシなどの購入を取りやめたという。

それでも「私の意見は何も変わっていない」と述べ、対イラン戦争や共和党の現職議員に対しては支持を表明した。

この選挙区では、トランプ氏の盟友である共和党の現職マイク・ローラー氏と民主党の新人ケイト・コンリー氏が議席を争う。エマーソン大が9月下旬に実施した世論調査では、コンリー氏がローラー氏を2ポイント差でリードしている。

ペンシルベニア州第7選挙区。この選挙区では、共和党現職のライアン・マッケンジー氏と民主党候補のボブ・ブルックス氏が争っている。世論調査では、ブルックス氏がわずかに優勢だ。

イーストン在住の元ディーゼルエンジン整備士、フレッド・マクドナルドさん(71)も、長年にわたって共和党を支持してきたと説明。経済的な不安はあるものの、今さら共和党を見捨てるつもりはないと語った。

24年にマッケンジー氏に投票したというマクドナルドさんは、今回もマッケンジー氏を支持するという。同氏を「誠実な人物」と評し、インフレの原因は共和党ではなく、政治エリート層全般の強欲さにあると考えている。

50年連れ添っているアントワネットさん(69)とともに、住んでいたアパートの家主から立ち退きを求められ、現在は娘の家に身を寄せている。手が出ない価格の住宅市場で、新しい住まいを見つけられずにいる。夫妻は牛肉を食べるのをやめ、ガソリンを入れるたびに身がすくむ思いをしているという。

アントワネットさんは、働くことを考えているという。「裁縫もできるし、掃除もできる」と話し、取材に応じたファストフード店でカウンターを指して、「それに、マクドナルドはいつだって募集している」と語った。

コンサルティング企業カーニー傘下のカーニー・コンシューマー・インスティテュートを率いるケイティ・トーマス氏は、景況感が人々の消費行動や投票行動を示す指標としての信頼性を失いつつあることは、連邦議会上下両院で過半数の奪還を目指す民主党が直面している課題を浮き彫りにしていると指摘した。トーマス氏は、消費者の心理と投票行動が「切り離されている」と指摘。中東での紛争や人工知能(AI)の台頭といった不確実性に対する懸念を原因に挙げ、「将来について確かな見通しが立たないと、人々は日々の習慣や忠誠心に依存しがちだ」と解説した。

<民主党支持者は切迫感強める>

一方、自らを「保守派の民主党員」と称する年金生活者のドナ・スクさん(76)はブルックス氏に投票する意向だ。「(ガソリンスタンドの)ワワの前を通りかかった時、1ガロン当たり4.65ドルと記された価格を見て気絶しそうになった」と打ち明けた。

全米自動車協会(AAA)によると、全米のガソリン平均価格は1ガロン当たり4.29ドルで、1年前から40%上昇している。

ニュージャージー州第7選挙区。格安スーパー「アルディ」の食品売り場で話しかけた元看護師のカーラ・シラーさん(67)は、以前は共和党の現職トム・キーン・ジュニア氏を支持していたが、今回は民主党の新人レベッカ・ベネット候補に投票すると明言した。アルディには節約のために通い始めたという。「食事ができる安心感がほしい」と語った。

ニューヨーク州第17選挙区の会員制量販店「BJ’s」で買い物していた看護師のジョアニス・パティーノさん(49)。「物価のことを以前より気にするようになった」と語り、民主党のコンリー候補に投票する意向を示した。生活費の負担軽減を期待している。

言葉を話せない自閉症の娘の医療費は毎月数百ドルかかる。そのうえ、通勤のガソリン代をどう工面するかにも頭を悩ませている。「以前は少し貯金できたのに」と振り返り、こう嘆いた。「今は全く貯められない」

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