Kentaro Okasaka
[東京 28日 ロイター] - ドイツのメルツ首相の来日に合わせて28日、都内で日独ハイレベル経済サミットが開催され、メルツ氏は「世界が根本的に変化する中で、日独のパートナーシップがますます重要になっている」と述べ、半導体やロボット技術、AI(人工知能)、量子技術、バイオテクノロジー、核融合、最新の製造技術といった先端技術分野での協力拡大を呼び掛けた。防衛や重要鉱物調達を巡る協力にも期待を示した。
赤沢亮正経済産業相は「ドイツはわが国にとって欧州最大のパートナーだ」とし、フィジカルAI分野での協力に期待を表明した。一方、欧州連合(EU)が検討する欧州製電気自動車(EV)の優遇措置案に関し、日本製EVが欧州市場から排除されるなどの悪影響を「強く懸念している」とも述べ、メルツ首相に直接、懸念を伝えた。赤沢氏は「これまで日独の産業界は大変良好な関係を構築してきた」と指摘。日本がドイツに自動車生産に必要な磁石を供給するなど、補完的なサプライチェーン(供給網)を構築しているとし「特定国による過剰生産に対し本来、同志国として一致して対処すべきパートナーが日独だ」と訴えた。
メルツ氏は講演で、「重要鉱物がなければ、電池も先端半導体も高性能の電動モーターも、日独両国が今後必要とする数多くの技術も実現できない」と強調。「原材料の採掘、加工が少数の国に集中すると、私たちは大きなリスクを抱える」とし、調達先の多角化やリサイクル強化などでより密接に協力すべきだと述べた。「日独両国の防衛産業の協力も深めていくべきだ」とし、「産業界のパートナーと共に新たな市場を開拓し、輸出機会をさらに広げたい」と語った。
経団連の筒井義信会長は「今日、過剰生産がわれわれの産業に少なからず影響を及ぼしており、公平な競争条件を確保するためのルールづくりに両国が主導的な役割を果たすことが求められている」と述べた。経済安全保障の確保にも触れ「重要物資の輸出制限といった経済的威圧が横行する中では、信頼できるパートナーである日独間の協力が肝要だ」と訴えた。筒井氏もEVの優遇措置案に触れ「日独を含めた日・EU間の協力を阻害することがないように要望する」とくぎを刺した。
サミットに先立ち、経済産業省はドイツの重電大手シーメンス・エナジーと浮体式洋上風力発電事業での協力に関する覚書の署名式を行った。産業基盤強化に向けたサプライチェーン(供給網)の発展などに向け協力する。シーメンスはアジア初となる戦略的なオペレーション・メンテナンス拠点を北海道に設置する。