日本企業のたとえ小さな取り組みでも、メディアが広く伝えれば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく――。そうした「発信と共創の場」をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版は2023年春、「SDGsアワード」を立ち上げました。
2026年、私たちはこの想いをさらに深化させ、ビジネスと社会貢献の融合により強くフォーカスするため、名称を新たに、ニューズウィーク日本版「サステナビリティアワード」として、第4回のプロジェクトを始動しました。
先の見えない今の時代にこそ、日本企業のたゆまぬ挑戦とサステナブルなビジネスモデルが、世界に求められています。私たちは今年も、日本企業によるサステナブルな取り組みを発信していきます。
まだ使えるものが捨てられ、それを必要とする場所には届かない。食品ロスに象徴されるこの矛盾は、人間の食卓だけの問題ではない。未使用のペットフードが廃棄される一方で、犬猫の保護現場は慢性的な物資不足に直面している。
この「余剰」と「不足」のミスマッチを解消すべく立ち上がったのが、一般社団法人Terminalだ。
「善意はあるのに、つなぐ仕組みがない」
Terminalの活動の原点は、代表理事の鈴木雅博氏が6年前に訪れた愛知県動物愛護センターでの体験にある。そこで殺処分を待つやせ細った犬の姿を目にし、別の機会には資金や物資の不足に悩む動物愛護団体の保護現場を目の当たりにした。その後、フードバンク活動に関わる中で、「食品ロスがあるならば、ペットフードロスもあるはずだ」と考えたことが事業の出発点となった。
しかし、余剰フードを集めて配れば解決するほど現実は単純ではない。賞味期限や未開封かどうかの厳格な確認、転売や目的外使用の防止策、さらには犬猫の年齢、種類、持病ごとに異なる細かなニーズとのマッチングなど、ペットフード特有のハードルが立ちはだかる。
そこでTerminalは、獣医師や弁護士をはじめとする専門家が定めたルールとチェック体制のもと、市民、行政、企業、獣医師会、動物愛護団体が連携する地域循環型エコシステムを構築した。既存の地域リソースを巧みに生かすことで、関係者のコストや負担を抑えつつ、安全性と持続可能性を仕組みとして担保している。

「善意はあるのに、それをつなぐ仕組みがない」という課題から、2024年6月に任意団体として動物版フードバンクを発足。行政・企業連携の深化とガバナンス体制の強化のため、2026年4月に一般社団法人化した。