世界の鉄道の中で、アメリカ合衆国の鉄道には際立った特徴がある。そこには東海岸から西部へと発展したアメリカの19世紀前後の歴史が、そのまま鉄道の発展に重なった歴史がある。アメリカは一度は鉄道大国、それも圧倒的な鉄道大国であった。

けれども、1950年代に進んだモータリゼーションや国内航空網の整備は、アメリカの鉄道産業を一気に衰退に追いやったのである。

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このダイナミックな歴史の結果、アメリカの鉄道は欧州にもアジアにも、またアフリカや中南米にもない、独特のものとなった。そこには3つの特徴が指摘できる。

まず、1つ目は民営の鉄道貨物が隆盛である一方で、長距離旅客鉄道は官営になっているということだ。そもそも、20世紀前半まで、アメリカが鉄道大国であった時代、鉄道を運営していたのはほぼ100%が民間企業だった。例えば、19世紀には多くの「鉄道王」たちが、競って新線を建設して大富豪となっていった。なかでも北東部の雄であったペンシルベニア鉄道は100年連続配当という安定経営を誇っていたのである。

そのペンシルベニア鉄道が1950年代以降あっけなく消滅した一方で、民営の鉄道貨物企業は現在も株式市場では人気銘柄として隆盛を極めている。半面、旅客輸送については中長距離は国内航空に、短距離は自家用車やバスに旅客を奪われて衰退した。

今は、旅客の都市間輸送としては国営のアムトラックが訪米観光客やリタイア世代向けを中心とした長距離特急を走らせているだけだ。

貨物は元気だが旅客は駄目、そして民営が衰退して官営に変わったという順番、そのどちらも日本や欧州で起きている動きとは真逆である。

架線が取り払われた
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