今回の研究の筆頭著者で、ハーバード大学の疫学教授であるローレライ・ムッチは、こうした関連には複数の要因が考えられると説明する。

飽和脂肪を植物性脂肪や一価不飽和脂肪に置き換えると、コレステロールなどの血中脂質や血圧が改善し、心血管疾患やメタボリックシンドロームのリスク低下につながる可能性がある。

また、イェール大学の医学・泌尿器科学教授、ダニエル・ペトリラックは、「高脂肪の食事によって炎症が強まり、前立腺がんの増殖を促す可能性がある」と指摘する。

特に重要なのは、今回の研究で前立腺がんそのものによる死亡よりも、心血管疾患による死亡のほうが多かったことだ。転移のない前立腺がんでは診断後も数年から数十年にわたって生きる人が多く、心血管の健康が長期的な生存を左右する重要な要因となる。

ミシガン・センター・フォー・トランスレーショナル・パソロジー所長のアルル・チンナイヤン医師は、オリーブオイルやナッツ、種子類などに含まれる不飽和脂肪は、飽和脂肪の代わりに摂取することでLDLコレステロールを低下させる可能性があると説明する。ナッツや種子類には、食物繊維などの有益な栄養素も含まれている。

ただし、植物由来なら何でもよいわけではない。ココナツオイルやパーム油は植物由来でも飽和脂肪を多く含むため、重要なのは「植物性か動物性か」だけではなく、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えることだとチンナイヤンは強調する。

ムッチは、バターの代わりにオリーブオイルを使う、赤身肉や加工肉を減らしてより健康的なタンパク源を選ぶ、トーストにピーナツバターやアボカドをのせるといった簡単な工夫を挙げ、「食生活をより健康的で植物中心のものへと切り替えるのに、決して遅すぎることはない」と語る。

一方、今回確認されたのは食生活と全死因死亡リスクとの「関連」であり、こうした食生活によって前立腺がんそのものによる死亡が減ったことが示されたわけではない。チンナイヤンも、「今回のデータは全身の健康全般への好影響を示唆するものであり、がんの進行を遅らせたり延命を保証したりするものではない」と慎重な見方を示している。

Reference

Mucci, L et al. (2026) Dietary Fat Intake and Mortality Among Patients With Nonmetastatic Prostate Cancer. JAMA Network Open. https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2853518

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