米マイクロソフトは10月21日、中国政府との関係が疑われるハッカー集団がAIを活用し、世界の数百組織を標的とする大規模なサイバー攻撃を実施していたと発表した。攻撃には「ARTEX」と呼ばれるAI搭載の侵入テストツールが使用され、一部の組織では標的の選定から3時間未満でクラウド環境への特権アクセスを取得されたという。
企業向けのIT管理やクラウドバックアップなどを提供する米ITサービス企業ConnectWiseのアプリケーション認証情報も悪用され、同社のサービスを利用する顧客企業に被害が波及した。同社は10月23日、週末までに復旧環境の試験と安全性確認を終え、順調に進めば翌週前半にバックアップデータの復元機能を再開する見通しを示した。個々の顧客環境については、引き続き不正アクセスの有無を確認する必要があるとしている。
マイクロソフトが攻撃主体として特定したのは「Storm-0940」と呼ばれるグループ。同社によると、この集団は少なくとも2021年から活動しており、主に企業や政府関連組織からの情報窃取を目的としている。
今回の攻撃は2026年9月には始まっていたとみられ、航空宇宙、防衛、自動車、化学、エネルギー、金融、政府機関、法律事務所、半導体、報道機関など、多様な業種を標的とした。攻撃の大半は成功しなかったが、複数の組織でクラウド環境への特権アクセスが確認された。マイクロソフトは、攻撃者が短期間に多くの組織で特権アクセスを継続できる状態を確立したと分析している。