鮨に学んだ、あえて「恥をかく場」に身を置く理由

──本田さんは、「戦い方、感情、身体、始め方、時間と場所の配置、人とのつながり」という6つの角度から、ご自身の実験をもとに人生後半を組み直していったと本にありました。中でも一番「これをはじめてよかった」と思うことは何でしたか。

一番は料理を始めたこと。中でも鮨を握れるようになろうと思ったのは、他の料理と比べてインパクトが大きいと考えたから。僕にとっての料理は人をもてなすためのものなので、鮨はピッタリ合っていました。オンラインの鮨学校で学んだあと、東京すしアカデミーに通い始めました。

人生「後半戦」の生き方
一貫ずつ、心を込めてもてなす本田直之さん(本人提供)

──東京すしアカデミーに通われたことで、ご自身の中でどんな変化がありましたか。

人をもてなす側に回れるようになったのが大きいです。それまではもてなされる側でしかなかったのが、今度は人に喜んでもらえるようになる。特に一年の半分近くは海外にいるので、日本人のアイデンティティが強く出る鮨は、海外でとても喜ばれます。鮨を学んだのは10年後、20年後を見据えたことですが、正直もっと早くやっとけばよかったなとも思います。

あえてそうした場に飛び込むのは、頭が固くなることが一番怖いからです。年齢を重ねると、周りも忖度するし、間違っていても指摘してくれる人が減っていく。気づかないうちに、いわば「めんどくさいおじさん」になってしまう。恥をかく場所に身を置き続けることで、頭を柔軟に保ち、誤った方向に進まずに済みます。

後半戦を「アップデートできる人」と「できない人」
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