<偽情報対策をめぐる国際会議で、米国を「情報操作の脅威」として扱う議題に米国務省が反発し、複数の政府機関が後援を撤回した。同盟国による政治的干渉を、敵対国と同じ基準で検証できるのか>
偽情報対策の国際会議で、後援団体のロゴが白いステッカーで覆われた。
2026年10月7日、リトアニアの首都ビリニュスで開幕した「Disinfo 2026」での出来事だ。カナダ外務省、リトアニア外務省、欧州対外行動庁(EEAS、EUの外交機関)が後援を撤回した。米国を情報操作の脅威として扱う議題に、米国務省が反発していた。
この出来事で重要なのは、同盟国が米国の干渉に抗議することと、米国を対策の対象となる「脅威」に位置づけることの間に、隔たりがある点だ。
欧州諸国やカナダは米国の一部の行為を批判してきた。それでも、米国を脅威として論じる場の後援を継続できなかった政府もある。白いステッカーは、情報操作への対応が同盟関係によって制約される問題を可視化した。
米国を議題にした会議への圧力
主催者はブリュッセルの非営利団体EU DisinfoLabである。米国務省が問題にしたのは、米国をFIMI(外国による情報操作と干渉)の脅威として論じるパネルと、米政府が欧州の5人に科した渡航禁止などを扱うパネルだった。会議には、北極での米国の情報操作を取り上げる議題もあった。
米国務省は複数の同盟国に、参加や後援を見直すよう働きかけた。欧州の米大使館には、不満を書面ではなく口頭で伝えるよう指示していた(記録を残さないためだろう)。会議で米国を脅威として論じることに対して、外交上の圧力をかけた。
ただし、後援を降りた側は、米国の要請に従ったとは説明していない。カナダ外務省は複数のパネルの枠組みが変わったことを理由にしたが、保存されたウェブページでは、米国を扱うパネルの説明文は9月9日から変わっていなかった。EEASは、議論の枠組みがEUの公式の立場と一致しないと説明した。
一方、フランス外務省は、米国の働きかけを受けたものの、主要な後援者として残った。実は、カナダの職員とEEASは参加を続け、EUの資金援助も続いていた。後援撤回は、会議への関与をすべて断つことを意味してはいなかった。ロゴを外しながら関与を残す対応は苦渋の選択だったのだろう。