※あのニュースはどんな業界に影響するのか、あの企業の株価が動いたのはなぜか……。連載「ニュースで読み解く!注目株」では、株式市場を知り尽くした執筆陣が、いま注目すべき銘柄や相場の展開を解説します。
北米で驚異的な成長を遂げたピジョン
ベビー用品大手のピジョン<7956>に、新たな成長市場が生まれています。8月に発表した今期(2026年12月期)の中間決算は、売上高が前年同期比9.8%増の590億円、営業利益は17.9%増の79億円と好調です。
なかでも特筆すべきは北米市場です。哺乳器・乳首(哺乳瓶の吸う部分のこと)の売上高が「ピジョン」ブランドで前年同期比約130%増、「ランシノ」ブランドでは約70%増と、いずれも驚異的な伸びを見せています。この急成長を後押ししているのは、販売網の拡大です。
「ランシノ」は、乳首ケアクリームなど母乳育児サポート用品に強いアメリカ発のブランドで、ピジョンが2004年に買収して連結子会社化し、2014年からは哺乳瓶の販売も本格化しました。一方の「ピジョン」ブランドは、ECを中心に認知を広げてきました。
そして今年、アメリカの小売大手ターゲットの哺乳器・乳首売場への新規配荷を実現し、消費者の身近な店舗にも並ぶようになりました。これまでECで口コミを積み重ね、リアル店舗へ。長年育ててきた北米市場が、いよいよ収穫期に入ったとみられます。
■中国に続く「第2の利益の柱」になるか
8月の好決算を受けて、ピジョンの株価は上昇。その後、利益確定の売りや中国事業への警戒感などから一時調整したものの、10月に入って再び持ち直しています。今後の焦点は、ターゲットなどへの販路拡大を持続的な利益成長につなげられるかどうかでしょう。
また、中国の少子化や消費低迷に加え、北米での販促費・物流費の増加が利益を圧迫するリスクにも注意が必要です。これまで中国市場を大きな収益源としてきましたが、それを維持しつつ、北米、ヨーロッパ、インドなどに第2、第3の利益の柱を育てられるかが注目されます。
会社では、2035年に哺乳器・乳首の世界シェア20%を目標に掲げています。北米での急成長が新たな利益の柱に育てば、ピジョンの成長ストーリーも大きく変わりそうです。
磨いてきた商品力で新たな市場を切り拓く
アメリカにはPhilips AventやDr. Brown’sなど、有力な哺乳瓶メーカーがひしめいています。その中で、なぜピジョンが伸びているのか。ひとつには、ピジョンがこれまで主力市場としてきた日本や中国に比べて、出生数が底堅いという市場環境の違いがあります。