Feras Dalatey  Jonathan Saul

[ダマスカス/ロンドン 16日 ロイター] - イランは、米軍による海上封鎖が続く中でも、7月以降に一部の液化石油ガス(LPG)やジェット燃料の輸出に成功していたことが、船舶追跡データや海上安全保障関係者への取材で分かった。

複数の海上安全保障関係者の話では、イランは近年、オマーン沖で増加しているペルシャ湾岸産油国の船舶間積み替え(STS)取引に自国貨物を紛れ込ませる手法を利用していた。ロイターが、こうした輸出実態や具体的手法を確認した。

イラン関連タンカーの動向を監視する米民間団体「ユナイテッド・アゲインスト・ニュークリア・イラン(UANI)」の分析によると、7月中旬以降にイラン産LPGを積載した少なくとも8隻のガスタンカーがオマーン湾を出航。また、海事情報会社シンマックスの衛星画像分析に基づくと、イラン産ジェット燃料を積載したタンカー1隻が9月にミャンマーへ到着した。

ロイターの分析では、LPG輸送船8隻のうち6隻とジェット燃料輸送船は、イラン産石油・石油化学製品の輸送に関与したとして米財務省の制裁対象となっている。

UANIの上級調査アナリスト、ジェミマ・シェリー氏は「封鎖を通過したのは一握りのLPG輸送船に過ぎず、大半のイラン産貨物輸送船は米軍によって引き返させられた」と述べた。

シェリー氏は、一部のLPGタンカーはオマーン北部のシナスやソハール沖で貨物を積み替え、別の船舶はオマーン湾内で待機した後に封鎖線を通過したと述べた上で、これらLPG貨物の総量を約410万バレルと推計している。

さらにこうした輸送は「新たな輸出戦略というよりも機会主義的な動き」で、多くの貨物はマレーシア沖の積み替え拠点へ向かい、その後中国向けに再輸送された公算が大きいとの見方を示した。

米中央軍は、4月13日に開始された対イラン海上封鎖について「鉄壁だ」と強調している。封鎖は6月にいったん解除されたが、米国とイランの暫定合意が崩壊したことを受け、7月14日に再開された。

米軍当局者はロイターに「船舶が通過したからといって封鎖を回避したことにはならない」と説明。各船舶について書類審査などを個別に行い、人道目的の場合には通航を認めることもあると述べた。制裁対象船であることだけが封鎖適用の判断基準ではなく、作戦上の理由から監視対象としているものの措置を取っていない船舶もあるとしている。

中央軍による今月13日の発表では、直近3カ月間の封鎖期間中に商船4隻を無力化し、135隻を引き返させた。

調査会社ベリスク・メイプルクロフトの中東担当主任アナリスト、トルビョルン・ソルトベット氏は「少数でも石油製品タンカーを通過させられるのであれば、ジェット燃料輸出は有力な選択肢となる」と語る。その理由として、米制裁によってイランの航空産業が圧迫され、多くの航空機が運航停止状態にあることから、製油所でジェット燃料の余剰が生じる可能性を挙げた。

Reuters Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。